JRのきっぷの「東京都区内」とは? 範囲や使い方など、わかりやすく解説

きっぷ

東京から大阪まで新幹線で行くときに、きっぷ(乗車券)に表示されている「東京都区内→大阪市内」の文字。

このきっぷの「東京都区内」とは、どの駅が入っていて範囲がどこまでか知っていますか?

ここでは、JRの「東京都区内」について、通常のきっぷとの違い、使い方などをくわしく解説します。

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JRの「東京都区内」とは?

JRのきっぷの「東京都区内」とは、遠距離の乗車券(きっぷ※1)で東京23区内の駅から発着する場合に、利用する駅にかかわらず東京駅を基準として運賃を計算する制度です。

「都区内」とは、聞き慣れない言葉かもしれませんが、東京都の区部、いわゆる「東京23区」の内側のことです。

  • 1:以下本ページ内、「きっぷ」は乗車券を表します

JRの「東京都区内」の範囲

東京都区内の駅は、具体的には下の路線図上にある駅です。

実際に運行している経路による路線図と、運賃・料金の計算に使用する路線図を、タブのタッチにより切り替えられます。路線図の拡大もできます。

  • 列車運行の路線図
  • 運賃・料金計算用の路線図

拡大・縮小は、左上の+-ボタンでできます。
タッチデバイスではピンチイン/アウト、PCではマウスホイールでも操作できます。

東京駅だけ赤色になっていますが、これは東京都区内の範囲の中心となる駅を表しています。東京都区内からのきっぷは、東京駅からの距離をもとに金額を計算します。

山手線と、その内側の中央線・総武線の駅は緑色の枠内にありますが、この駅は「東京山手線内」という同様の範囲の対象となります。

「東京都区内」は、東京駅や山手線の駅はもちろん、以下の駅までの範囲です。

  • 東海道線・京浜東北線:蒲田駅まで
    (東海道線・上野東京ラインの列車では、品川駅まで)
  • 横須賀線・湘南新宿ライン:西大井駅まで
  • 中央線:西荻窪駅まで
  • 埼京線:浮間舟渡駅まで
  • 宇都宮線(東北線)・高崎線・京浜東北線・湘南新宿ライン・上野東京ライン:赤羽駅まで
  • 常磐線:金町駅まで
    (快速電車・中距離普通列車(いずれも上野東京ライン含む)では、北千住駅まで)
  • 総武線:小岩駅まで
    (快速電車では、新小岩駅まで)
  • 京葉線:葛西臨海公園駅まで

東京都区内の駅の目印

東京駅駅名標 東海道線下り

東京駅 東海道線下りホームの駅名標(2016.12.29撮影)

路線図を覚えなくても、対象となる駅のホームには「東京都区内」を表すマークがあります。

上の写真は、ホームにある駅名が書かれた看板「駅名標」です(写真は東京駅)。この駅名標の右上に、四角囲みで「区」のマークが表示されています。

これが「『東京都区内』の駅です」と意味するマークです。なお、となりの「山」マークは「東京山手線内」の駅を意味します。

路線図で東京都区内の範囲がわからなくても、駅名標にこの「区」マークのある駅では、東京都区内ゆきのきっぷで降りることができます。

東京駅駅名標 東海道新幹線

東京駅駅名標 東北新幹線

上:東京駅 東海道新幹線ホームの駅名標(2016.12.29撮影)
下:東京駅 東北新幹線ホームの駅名標(2016.12.29撮影)

東京駅の他のホームにある駅名標でも、同じように「区」マークがついています。

新宿駅駅名標 山手線外回り

新宿駅 山手線外回りホームの駅名標(2016.11.17撮影)

新宿駅の駅名標も、右上に「区」マークがついています。

駅の外には表示がないので、乗るときはわからないかもしれませんが、実際に乗る(改札に入る)駅が23区内にあれば、その乗る駅できっぷを買えば東京都区内からのきっぷになります。

通常のきっぷとの違い

券売機で買う近距離のきっぷでは、「東京→140円区間」などと書かれています。

通常は「東京」などと、きっぷの出発駅が指定されていますが、条件を満たすと「東京都区内」発着のきっぷになります。

東京都区内発着となる条件

きっぷ(乗車券)が「東京都区内」発着になるのは、東京都区内の中心となる東京駅からの距離(営業キロ)で決まります。

東京駅からの距離が200キロを超えると、「東京都区内」発着のきっぷになります。

東京駅から200キロを超える駅は、新幹線と特急列車が走る路線では、以下の駅と同駅より先の駅になります。

  • 東海道新幹線:掛川駅(229.3キロ)
  • 東北新幹線:郡山駅(226.7キロ)
  • 上越新幹線:浦佐駅(228.9キロ)
  • 北陸新幹線:長野駅(222.4キロ)
  • 常磐線(〈ひたち〉〈ときわ〉):泉駅(200.8キロ)
  • 中央本線(〈あずさ〉):上諏訪駅(201.9キロ)

東京都区内のどの駅からでも乗車/下車可能

「東京都区内」と表示されたきっぷは、東京都区内のどの駅からも利用できます。「東京都区内→○○○○」のきっぷは東京都区内のどの駅からも乗れて、「○○○○→東京都区内」のきっぷは東京都区内のどの駅でも下りることができます。

例えば、「東京都区内→大阪市内」のきっぷを持っていれば、東京駅・新宿駅・赤羽駅など、東京都区内にあるすべての駅から乗ることができます。

範囲内のどの駅で乗って(下りて)も、きっぷ(乗車券)の値段は同じになります。

同じ「東京都区内」の駅では途中下車できない

きっぷのルール上、「東京都区内」の駅から乗車/下車し、その前後で別の「東京都区内」の駅で乗下車する(途中下車)することはできません。

例えば「東京都区内→大阪市内」のきっぷを持っていて、上野駅から乗車(利用)した場合、東京駅で途中下車することはできないです(上野→東京間の運賃を支払うことで、「東京都区内→大阪市内」の乗車券が無効にならず引き続き使えます)。東京都区内と大阪市内の間の駅(名古屋駅など)では途中下車できます。

反対に、「○○○○→東京都区内」のきっぷを持っている場合、最初に下りた「東京都区内」の駅できっぷは回収されます。

くわしくは「特定都区市内制度」のページで説明しています。

「東京都区内」発着きっぷの使い方

東京23区全域にわたる広範囲の「東京都区内」を活かす、きっぷの使用例です。

往復で乗車/下車する駅を変える

「東京都区内」発のきっぷの場合、東京駅・新宿駅・渋谷駅・錦糸町駅など、「東京都区内」のどの駅からでも乗ることができます。

そのため、「東京都区内」までの往復のきっぷを持っていれば、往復で利用する駅を変えるような使い方ができます。

具体例としては、

  • 行きは新幹線を東京駅で下りて、丸の内の出張先へ
  • 帰りは渋谷で友人と会ってから、渋谷駅より品川駅乗り換えで新幹線

といったことなどができます。

舞浜駅など、「東京都区内」の近くにある駅まで乗り越し利用

「東京都区内」着のきっぷを持っていて範囲外まで乗り越す場合、追加でかかる運賃は、下車した駅とその駅から最も近い「東京都区内」の駅までが乗り越し運賃となります。

上の説明ではわかりづらいですが、例えば「東京都区内」ゆきのきっぷを持っていて舞浜駅まで乗り越す場合、追加でかかる運賃は、舞浜駅と葛西臨海公園駅(舞浜駅から最も近い「東京都区内」の駅)の間の140円(きっぷ運賃)となります。

東京駅と、実際に利用する「東京都区内」範囲外の駅までの距離によっては、「東京都区内」ゆきのきっぷを買った上で乗り越した方が安くなることがあります。

なお、反対方向で「東京都区内」発のきっぷを持っていて舞浜駅から乗車する場合、舞浜→葛西臨海公園間のきっぷを購入し、その購入したきっぷで改札から入場します。

舞浜駅など、「東京都区内」の範囲外だけど近い駅への長距離きっぷの利用時は、きっぷ購入前に各種乗り換え検索サービスで運賃額を比較・確認すれば、少しおトクになるかもしれませんよ。

例:浜松~舞浜間での運賃比較

浜松~舞浜間の乗車券の価格は4,840円(269.8キロ)。

これに対し、浜松~東京都区内(葛西臨海公園)間の乗車券は4,510円(浜松~東京間257.1キロ)で、葛西臨海公園~舞浜間の運賃は140円(2.1キロ/きっぷ運賃)。

4,510円+140円=合計4,650円となります。乗り越し精算をしない、通し購入のきっぷと比較して190円安くなっています。

「東京都区内」の適用対象外となるきっぷ

「東京都区内」の制度が適用されるのは、乗車券と、一部の特別企画乗車券(トクトクきっぷ/おトクなきっぷ、「新幹線回数券」など)の乗車券部分です。

特急券など、特定の列車を利用するのに必要なきっぷは対象外です。

また、新幹線のネット予約サービス「エクスプレス予約」「スマートEX」「新幹線eチケット」も対象外です。

特急券など

「東京都区内」が適用されるのは、基本的に乗車券のみです。

特急券・グリーン券・指定席券・寝台券など、乗車券と別に必要となるものは、「東京都区内」の適用対象外です。

特急券などは、実際の利用区間に応じた料金になります。例えば〈あずさ〉の場合、東京駅と、隣同士にある茅野駅(200キロ以下)と上諏訪駅(200キロ超)との間では特急料金が異なりますが、新宿駅からでは茅野駅・上諏訪駅のどちらも200キロ以下になるため、特急料金は同じです。

「エクスプレス予約」「スマートEX」「新幹線eチケット」

東海道・山陽新幹線のネット予約サービス「エクスプレス予約」「スマートEX」、東北・上越・北陸新幹線のネット予約サービス「新幹線eチケット」では、乗車券部分も「東京都区内」の制度の適用対象外です。

そのため、在来線から乗り継ぐ場合、利用する新幹線駅までの運賃が別に必要となります。「スマートEX」「新幹線eチケット」で指定席を予約・利用すると、割引額は200円です。そのため、在来線区間の運賃が200円を超える場合、駅での通常購入の方が安くなります。

JR東日本のネット予約「えきねっと」で発売している限定商品「えきねっとトクだ値」「お先にトクだ値」の在来線特急については、乗車券部分は「東京都区内」が適用されます。

同じような範囲は他にはどこにある?

このようなルールは「特定都区市内」制度といい、「東京都区内」を含めて全国で11ヶ所あります。

政令指定都市のうち、川崎市をのぞいて、1989年に指定された仙台市までの政令市が対象です。

各市内の範囲となる駅は、実際の市域とほぼ同じですが、横浜・京都・大阪・広島市内の駅の範囲には、市外に位置する駅が含まれています。また、神戸・福岡市内の駅の範囲は、市内にありながら範囲には含まれない駅があります。

特定都区市内制度について、適用条件、途中下車のルールなど、くわしくは「特定都区市内制度とは?」のページへどうぞ。

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他にも東京都区内の範囲が対象となるきっぷ

JR東日本の東京都区内の駅で発売されている「都区内パス」のフリーエリアは、この東京都区内です。

また、JR・東京メトロ・都営地下鉄などが乗り放題の「東京フリーきっぷ」のJR線のフリーエリアも東京都区内の範囲です(東京メトロと都営地下鉄は都の区域外も含めて全線フリーです)。

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