東海道新幹線で名古屋駅まで行こうとJRの長距離きっぷ(乗車券)を買うと、「名古屋市内」と書かれていることがあります。
このJRでの「名古屋市内」の範囲とはどの駅までか、通常のきっぷとの違い、使い方などをくわしく解説します。
JRの「名古屋市内」の範囲
JRのきっぷに表示されている「名古屋市内」は、実際の名古屋市に位置するJR線のすべての駅です。
JRの「名古屋市内」の駅は、具体的には下の地図の中で、白丸になっている駅です。
名古屋駅だけ二重丸(◎)になっていますが、これはJRの「名古屋市内」の駅の中心となる駅を表しています。
名古屋駅を中心に、次の駅までの範囲が「名古屋市内」の駅です。
- 東海道本線(岐阜方面):名古屋駅まで
- 東海道本線(豊橋方面):南大高駅まで
- 中央本線:新守山駅まで
- 関西本線:春田駅まで
名古屋市内の駅の目印
Photo by そらみみ (Own work, 2014) [CC BY-SA 3.0]
金山駅(中央本線)の駅名標(2014.2.4撮影)
JRの「名古屋市内」の駅には、ホーム上に目印があります。
ホームにはその駅の名称や隣の駅名が書かれた看板・駅名標があります。
この駅名標の右上に、四角囲みで「名」と表示されているのがありますが、これが「『名古屋市内』の駅です」と表示しているマークです。
乗る場合は、ホーム以外には表示がないのでわからないかもしれませんが、「名古屋市内」の範囲内の駅できっぷを買うと、条件を満たしていればほぼ自動的に「名古屋市内」からのきっぷになります。
通常のきっぷとの違い
券売機で買う近距離のきっぷでは、「名古屋→140円区間」などと書かれています。たいていは「名古屋」駅などと具体的に表示されていますが、条件を満たすと「名古屋市内」発着のきっぷとなります。
「名古屋市内」発着となる条件
「名古屋市内」の中心となる名古屋駅から200キロを超えた距離(正確には営業キロまたは運賃計算キロ)にある駅と、「名古屋市内」の駅との間のきっぷが対象になります。
名古屋駅から200キロ超とは、主な路線では以下の駅と、そこから先の駅になります。
- 東海道本線・神戸方面:立花駅
- 山陽新幹線:新神戸駅
- 東海道本線・東京方面:興津駅
- 東海道新幹線・東京方面:新富士駅
- 飯田線(豊橋経由):天竜峡駅
- 篠ノ井線(中央本線(中津川)経由):明科駅
- 大糸線(中央本線(中津川)経由):豊科駅
- 中央本線(中津川経由):茅野駅
- 高山本線(岐阜経由):飛驒細江駅
- 北陸本線(長浜経由):細呂木駅
- 山陰本線:和知駅
- 福知山線:塚口駅
- 紀勢本線(伊勢鉄道線経由):紀伊井田駅※1
※1:別途、伊勢鉄道線の運賃(おとな510円)が必要です
「名古屋市内」のどの駅でも乗下車可能
「名古屋市内」発のきっぷの場合、名古屋駅・金山駅・千種駅など、「名古屋市内」のどの駅からでも乗ることができます。
そのため、「名古屋市内」までの往復のきっぷを持っていれば、
- 行きは熱田駅で降りて熱田神宮でお参り、
- 帰りはナゴヤドームでのイベント後、最寄りの大曾根駅から名古屋駅乗り換えで新幹線
といったこともできます。
同じ「名古屋市内」の駅では途中下車できない
きっぷのルール上、「名古屋市内」の駅から乗り降りし、途中で別の「名古屋市内」の駅で乗り降りする(途中下車)することはできません。一度「名古屋市内」の駅から乗る(降りる)と、同じ「名古屋市内」の駅で乗り降りできないという制約があります。
上の例では、「名古屋市内→東京都区内」のきっぷを持っていて、大曽根駅から中央本線に乗り、名古屋駅で新幹線に乗り換える場合、同じ「名古屋市内」にある千種駅・鶴舞駅・金山駅・尾頭橋駅・名古屋駅で途中下車することができません。
くわしくは「特定都区市内制度」のページで説明しています。
「名古屋市内」発着のきっぷのねだん
「名古屋市内」発着のきっぷ(乗車券)の値段は、名古屋駅からの距離で決まります。「名古屋市内」の範囲内のどの駅からでも同じ値段です。
同じような範囲は他にはどこにある?
このようなルールは「特定都区市内」制度といい、「名古屋市内」を含めて全国で11ヶ所あります。
特定都区市内制度について、適用条件、途中下車のルールなど、くわしくは「特定都区市内制度とは?」のページへどうぞ。