山陽新幹線で広島駅まで行こうとJRの長距離きっぷ(乗車券)を買うと、「広島市内」と書かれていることがあります。
JRでの「広島市内」の範囲とはどの駅までか、通常のきっぷとの違い、使い方などをくわしく解説します。
JRの「広島市内」の範囲
JRのきっぷに表示されている「広島市内」は、実際の広島市に位置するJR線の駅とほぼ一致しますが、一部違っているところもあります。
JRの「広島市内」の駅は、具体的には下の地図の中で、白丸になっている駅です。
広島駅だけ二重丸(◎)になっていますが、これはJRの「広島市内」の駅の中心となる駅を表しています。
広島駅を中心に、次の駅までの範囲がJRの「広島市内」の駅です。
- 山陽本線(岡山方面):瀬野駅まで
- 山陽本線(下関方面):五日市駅まで
- 呉線:矢野駅まで
- 芸備線:井原市駅まで
- 可部線:あき亀山駅までの全線
JRの「広島市内」には、市外の向洋駅・海田市駅も含まれる
広島駅から一度も市外に出ないことが「広島市内」の駅となる条件ですが、向洋駅・海田市駅は広島市に位置しないために、山陽本線の瀬野駅~安芸中野駅間、呉線の矢野駅は、中心となる広島駅からは一度広島市域の外に出てしまいます。そのため、向洋駅・海田市駅を便宜上「広島市内」に含むことで広島市内の全駅を「広島市内」の駅にしています。
向洋駅のある府中町は周囲が広島市に囲まれています。向洋駅と海田市駅の間では広島市域を通りますが、海田市駅は再び広島市ではなく海田町にあります。逆に矢野駅は広島市に位置しますが飛び地にあります。
広島市内の駅の目印
広島駅の駅名標(旧タイプ/2014.3.16撮影/画像加工あり)
JRの「広島市内」の駅には、ホーム上に目印があります。
ホームにはその駅の名称や隣の駅名が書かれた看板・駅名標があります。
この駅名標の右上に、四角囲みで「広」と表示されているのがありますが、これが「『広島市内』の駅です」と表示しているマークです。
乗る場合は、ホーム以外には表示がないのでわからないかもしれませんが、「広島市内」の範囲内の駅できっぷを買うと、条件を満たしていればほぼ自動的に「広島市内」からのきっぷになります。
通常のきっぷとの違い
券売機で買う近距離のきっぷでは、「広島→140円区間」などと書かれています。たいていは「広島」駅などと具体的に表示されていますが、条件を満たすと「広島市内」発着のきっぷとなります。
「広島市内」発着となる条件
「広島市内」の中心となる広島駅から200キロを超えた距離(正確には営業キロまたは運賃計算キロ)にある駅と、「広島市内」の駅との間のきっぷが対象になります。
広島駅から200キロ超とは、主な路線では以下の駅と、そこから先の駅になります。
- 山陽本線・博多方面:幡生駅
- 山陽新幹線・博多方面:小倉駅
- 山陽本線・大阪方面:三石駅
- 山陽新幹線・新大阪方面:相生駅
- 伯備線(倉敷経由):井倉駅※1
- 本四備讃線(瀬戸大橋線):宇多津駅※2
- 山口線(新山口経由):津和野駅
- 美祢線(厚狭経由):渋木駅
- 伯備線(三次・新見経由):備中川面駅
- 伯備線(三次・備中神代経由):上菅駅※3
- 山陰本線(三次・備後落合・宍道経由):来待駅/荘原駅
※1:岡山駅まで(から)山陽新幹線を利用することもできます。ただし岡山駅〜中庄駅間では途中下車できません
※2:高松方面など、宇多津駅に停まらない列車も同様です(この場合、実質的には坂出駅からが200キロを超えます)
※3:新見駅まで(から)特急やくも号を利用することもできます。ただし新見駅・布原駅では途中下車できません
「広島市内」のどの駅でも乗下車可能
「広島市内」発のきっぷの場合、広島駅・西広島駅・可部駅など、「広島市内」のどの駅からでも乗ることができます。
そのため、「広島市内」までの往復のきっぷを持っていれば、
- 行きは出張先最寄りの西広島駅で下りて、
- 帰りはホテル最寄りの広島駅から新幹線で、
といったこともできます。
同じ「広島市内」の駅では途中下車できない
きっぷのルール上、「広島市内」の駅から乗り降りし、途中で別の「広島市内」の駅で乗り降りする(途中下車)することはできません。一度「広島市内」の駅から乗る(降りる)と、同じ「広島市内」の駅で乗り降りできないという制約があります。
上の例では、「大阪市内→広島市内」のきっぷを持っていて、広島駅で新幹線から乗り換えて西広島駅に向かう場合、同じ「広島市内」にある広島駅・新白島駅・横川駅で途中下車することができません。
くわしくは「特定都区市内制度」のページで説明しています。
「広島市内」発着のきっぷのねだん
「広島市内」発着のきっぷ(乗車券)の値段は、広島駅からの距離で決まります。「広島市内」の範囲内のどの駅からでも(広島駅と)同じ値段です。
同じような範囲は他にはどこにある?
このようなルールは「特定都区市内」制度といい、「広島市内」を含めて全国で11ヶ所あります。
特定都区市内制度について、適用条件、途中下車のルールなど、くわしくは「特定都区市内制度とは?」のページへどうぞ。