JRの「特定都区市内」制度とは?~きっぷの「新大阪」発と「大阪市内」発の違い ~

きっぷ

JRのきっぷには、「東京都区内」「大阪市内」「広島市内」と書かれている場合と、「新大阪」「岡山」と具体的に駅名が書かれている場合があります。

例えば、新大阪駅から岡山駅までのきっぷを買うと、「新大阪→岡山」と表示されているのに、新大阪駅から広島駅までのきっぷを買うと、「大阪市内→広島市内」と表示されています。

この「新大阪」と「大阪市内」ではどのようなちがいいがあるのでしょうか?

ここでは、「○○市内」や「東京都区内」表示についてのルールの案内をします。

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範囲内では、どの駅から乗って(下りて)も大丈夫。

Photo by Tp2415 (Own work, 2012) [CC BY-SA 3.0]
大阪市内発の乗車券の一例

ここでは、写真とは違いますが「東京都区内→大阪市内」のきっぷを例にして説明します。

「東京都区内→大阪市内」のきっぷでは、東京都区内の駅であれば、どの駅からでも乗れます。東京駅からでも、品川駅からでも、新宿駅からでも乗ることができます。

同様に、大阪市内の駅であれば、どの駅でも下りることができます。大阪駅でも天王寺駅でもユニバーサルシティ駅でも下りることができます。

逆に言えば、範囲内のどの駅からでも同じ値段になります。「東京都区内→大阪市内」のきっぷ(東海道新幹線経由)であれば、東京駅で乗っても、品川駅で乗っても、大阪駅で下りても、ユニバーサルシティ駅で下りても同じ8,750円です。

反対方向の「大阪市内→東京都区内」のきっぷも同様です。

この「東京都区内」「大阪市内」といった、どの駅の発着でも同じ値段になる範囲を、特定都区市内といいます。

範囲内の駅で下りてしまったら?

「東京都区内→大阪市内」のきっぷを持っているときには、東京都区内と大阪市内以外の駅では、戻らない限り途中下車することもできます。

では、東京都区内や大阪市内で乗り下りしてしまったときは、どうすればいいでしょうか?

乗る側の範囲で下りた場合

「東京都区内→大阪市内」のきっぷを持って、上野駅の改札から入ったものの、忘れ物に気づいて途中の東京駅で下りるとどうなるでしょう?

この場合、上野駅から東京駅までの運賃(現金160円)を払えば、再び「東京都区内→大阪市内」のきっぷで東京駅から乗ることができます。

下りる側の範囲で、下車予定の駅より手前で下りた場合

「東京都区内→大阪市内」のきっぷを持って、天王寺駅まで行こうとしたものの、大阪駅で出てしまった場合などです。

この場合、きっぷは大阪駅で回収されます。再び天王寺駅まで行く場合は、大阪駅からのきっぷ(190円)を買う必要があります。

「東京都区内」「大阪市内」の他にはどの都市にある? 基準となる駅は?

「東京都区内」「大阪市内」といった特定都区市内制度は、全国の11都市で実施されていて、それぞれ基準となる中心駅も決まっています。

範囲 マーク 中心となる駅
札幌市内 札幌駅
仙台市内 仙台駅
東京都区内 東京駅
東京山手線内
横浜市内 横浜駅
名古屋市内 名古屋駅
京都市内 京都駅
大阪市内 大阪駅
神戸市内 神戸駅
広島市内 広島駅
北九州市内 小倉駅
福岡市内 博多駅

この12箇所から発着するきっぷは、範囲内の駅であれば同じ値段になります。

きっぷの計算の基準となるのは、「中心となる駅」からになります。「東京都区内→大阪市内」のきっぷであれば、東京駅~大阪駅間できっぷの値段を計算します。

「○○市内」の目印は?

「○○市内」の駅かどうかは、きっぷや駅名標(ホームにある駅名が書かれた看板)に目印があります。

上の表で「マーク」の欄がその目印で、東京都区内ならば「区」、大阪市内ならば「阪」のマークがあります。

東京駅駅名標 東海道線下り

東京駅の駅名標です。右上に「山」「区」と表示されていて、「東京山手線内」「東京都区内」を表す目印となっています。

「○○市内」となるきっぷの種類は?

基準の「中心となる駅」から200キロを超えると、「○○市内」発着のきっぷとなります。

ここでは、名古屋駅から新幹線に乗ったときのきっぷを例に見てみます。

名古屋→新大阪の場合。~「○○市内」の適用外となる場合~

名古屋駅から新大阪駅まで行こうとします。名古屋駅は「名古屋市内」、新大阪駅は「大阪市内」の駅なので、それぞれ中心となる名古屋駅から大阪駅の距離をはかると、190.4キロで200キロを超えません。

このため、実際に利用する「名古屋→新大阪」のきっぷとなり、この2つの駅間の距離で計算します。名古屋~新大阪間は186.6キロで、運賃は3,350円となります。

名古屋→新神戸の場合。~「○○市内」が適用される場合~

名古屋駅から新神戸駅まで行こうとします。名古屋駅は「名古屋市内」、新神戸駅は「神戸市内」の駅なので、それぞれ中心となる名古屋駅から神戸駅の距離をはかると、223.5キロです。

200キロを超えているので「名古屋市内→神戸市内」のきっぷとなり、運賃は4,000円となります。

東京のみ、「東京山手線内」の範囲あり。

上の表には、東京のみ「東京都区内」と「東京山手線内」の2つがあります。

「東京都区内」は「○○市内」同様に200キロ超で適用となるのに対し、「東京山手線内」は東京駅から100キロ超200キロ以下の区間が対象となります。

乗車券のみ対象で、特急券は対象外。

上に挙げてきたルールは、いずれも乗車券のみに適用されます。

200キロを超えている場合でも、特急券などについては実際に利用する駅同士で料金を計算します。

「○○市内」表示のきっぷについてのまとめ。

「○○市内」と表示されるきっぷは、○○市内の範囲内であればどの駅でも乗る(下りる)ことができます。200キロを超える乗車券について対象となり、「東京都区内」も同様のルールです。

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