なにわ筋線の車両と列車についての推測

てつトピ路線列車車両

大阪都心を南北に通る計画線の「なにわ筋線」。JR西日本と南海電車に加えて阪急電車も乗り入れることで話題となっています。

今回は車両の運用などについて考えてみました。

なにわ筋線への阪急電車の乗り入れについて詳しくは、前回の記事をご覧ください。

なにわ筋線に阪急電車乗り入れ。線路幅の違いはどうする?
大阪都心を南北に通る計画線の「なにわ筋線」。JR西日本と南海電車が、関西国際空港(関空)へのルートとして新大阪駅~「うめきた」~難波地区で計画しているなにわ筋線に、阪急電車も乗り入れることが3月16日に報じられました。 なにわ筋線の計画に...
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なにわ筋線の車両について

前回、阪急新線については狭軌が有力としたので、それを前提に進めます。

車両については、3社が乗り入れるので、乗り入れ規格を作った上で規格に合った車両を運転することになると思います。

しかし、乗り入れ規格の面でも、ハード面でも考慮しなければならないことがあります。ホームドアについてです。

車両のホームドア対応、JR車はどうする?

現在、新しく開業する路線ではホームドア設置が原則義務づけられています。正確にはホームでのドアの開く位置が固定されていれば設置が義務づけられています。

なにわ筋線の通常の列車(料金を必要としない普通・快速列車など)では、おそらくドアの位置をそろえるはずです。JRには3つドアの車両(3扉車、223系・323系など)と4つドアの車両(4扉車、207系・321系など)がありますが、なにわ筋線で将来どちらになるかは不明です。従来であれば、都心部を走る地下線ではJR東西線のように4扉車になると考えられます。

しかしなにわ筋線は関空への利便性向上の目的もあるので、関空快速を今のままでなにわ筋線に直通させると、3扉車になるとも考えられます。環状線が323系投入で3扉車に統一されることを考えると、「都心部だから3扉車は不可」という考えでは(少なくとも大阪では)なくなってきています。

そのため、車両のドアが3つになるか、4つになるかは、現段階では未知数です。

ただ、関空快速に新たな3扉車を投入となると現在と同様の車両でいいと思いますが、4扉車となると、現在クロスシートで走っている列車をロングシートにするのはサービスダウンになるので、近鉄のL/Cカーのようなデュアルシート車両が必要になるでしょう。

南海と阪急の車両は?

南海と阪急は、JRの動向次第ですが、なにわ筋線用の車両を新しく造ることになるのではないでしょうか。理由として、南海にとって初の地下線用の車両になること、車両の経年などからです。阪急については言うまでもないですが、既存路線とは違う狭軌用車両だからです。

こちらもJR同様に、3扉車か4扉車になるかはわかりませんが、どちらかに統一はさせるでしょう。阪急にとっては3扉車の方が現在とそう変わらないので(長さが少し長くなりますが)造りやすいのではないでしょうか。

特急車両について

なにわ筋線の計画に関空アクセス改善があるので、現在JRと南海で走っている特急はどちらもなにわ筋線に直通となるでしょう。

1994年の関空開港にともなって運転を開始した空港アクセスの特急列車は、JR「はるか」281系南海「ラピート」50000系のどちらも、94年の登場時以来車両が置き換わっていません。2017年現在では運転開始からまだ23年ですが、なにわ筋線が計画通り2030年に開通したとしても、2030年時点では車齢が36年になります。

さすがに車齢が高くなりますし、またラピート用50000系は前面非貫通なので、通常の地下線用トンネルには入れないでしょう(トンネル断面にもよります)。

そのため、両社ともなにわ筋線の開通に合わせて新しい空港アクセス特急用車両を造ることになるでしょう。その際には、ホームドアに対応させるのではないでしょうか。

なにわ筋線の運転・列車について

現在、関西空港発の列車は、JR・南海ともに、1時間あたりの本数は次のようになっています。

  • 特急(料金要):2本
  • 料金不要の優等列車※:4本

※JRは関空快速、南海は空港急行

現在のパターンそのままで、なにわ筋線へ直通させると、1時間あたり合計12本となります。

特急列車は現行をベースか

特急はすべてなにわ筋線に直通することになるでしょう。なにわ筋線は関空アクセス改善が目的にあるからです。

「はるか」は、現在と同じように京都方面の運転となるでしょう。環状線経由からなにわ筋線経由になるので、今まで停まれなかった梅田地区(うめきた新駅)に停まり、新大阪・京都方面へ抜けるルートです。

「ラピート」については、報道では新大阪まで運転ともありますが、うめきた新駅から新大阪方面へはさすがにJRが難色を示すと考えられるので、基本的にはうめきた新駅までの運転になるのではないでしょうか。もしかしたら阪急新線へ直通して十三(じゅうそう)まで運転するかもしれません。

通常列車はJR同士の直通と南海~阪急の直通?

なにわ筋線関連路線図

次に、ミナミのJR・南海合流点~うめきた新駅間の列車について考えてみます。

前提として、なにわ筋線はそれほど長くなくて大阪の中心部を通るので、ここでは通常の列車について線内すべての駅に停車(つまり、特急以外は線内各駅停車)としています。

特急列車・通常の列車ともに、運転パターンは大きく2つのパターンに分けることができそうです。

  • JR ← なにわ筋線 → JR(新大阪)
  • 南海 ← なにわ筋線 → 阪急(十三)

特急列車は上に書いた通りですが、通常の列車についても同じようになるのではないでしょうか。南海から来た電車が、なにわ筋線を通ってJRへ直通することもできますが、両端にJR線がある以上、JR直通の場合は両端ともJRなのが、会社の権益も維持できますし、利用者にとってもわかりやすいです。

そもそも、新大阪~うめきた新駅間は既存路線(梅田貨物線)の地下化なので、梅田貨物線への南海電車の乗り入れをJRは良くは思わないでしょう。新大阪駅での南海直通設備(ホーム設置、引き上げ線設置などの費用)を全額南海が出せばアリかもしれませんが、費用面でも用地確保の面でも難しいのではないでしょうか。

なお、JR・南海ともに、現在走っている料金不要の空港アクセス列車(関空快速・空港急行)がそのまますべてなにわ筋線に直通するかどうかはわかりません。南海の空港急行はなんば発着なので、1時間あたり4本全部がそのままなにわ筋線へ延長しても問題なさそうです。

この時点で、通常の列車は1時間あたり4本です。

JRの関空快速はどのくらい直通?

JRの方はちょっと複雑です。現在の関空快速は、天王寺から環状線を経由して、外回り(右回り)で大阪から京橋の方へ運転しています。すべてなにわ筋線へ直通させると、京橋からの空港アクセスがなくなってしまいます。

そこはJRがどうするかはわかりませんが、関空快速については一部がなにわ筋線に直通となるかもしれません。一部となると、半数の1時間あたり2本が有力でしょうか。

上で書いた南海の空港急行と合わせると、この時点で通常の列車は1時間あたり6本です。

JRと南海からでもう少し直通させる?

ここまで1時間あたりの本数は6本で、間隔をならすと約10分間隔になりますが、両端それぞれから2方向へ直通するので、その本数でならすのは難しいかもしれません。そうなるともう少し本数を増やす必要があります。JRと南海で2本ずつ増やすと、1時間あたり10本(特急のぞく)になるので利便性も増します。

JRについては、なにわ筋線の接続するJR難波駅は大和路線(関西線)の駅なので、本来でいうと大和路快速などを直通させるのが筋なのかもしれません。現行(2017年3月改正)だと、日中にJR難波発高田行きの快速が30分間隔で運転しているので、本数的にもこの快速が適当かもしれません。もちろん関空快速を4本すべて直通させるのもありです。

南海については適当な列車がないので、南海本線の普通車を直通させる、空港急行を増発する、高野線から直通させる、の3つのいずれかでしょう。

これで、合流点~うめきた新駅間は、1時間あたり10本となりました。平均すると6分間隔なので、都市部の路線としての利便性が確保できます。

うめきた新駅以北の列車について

なにわ筋線は、うめきた新駅で阪急新線とJRの梅田貨物線に分かれます(厳密には、梅田貨物線は南側からも合流します)。ここではそれぞれの路線の列車について見てみます。

阪急新線の列車

上に書いたパターン通りだと、阪急新線へは南海から直通することになります。南海からの列車は空港急行4本+αで2本、合計6本です。

都心部ではなく、十三からなにわ筋線へのアクセスと考えても1時間あたり6本というのは、都市部の路線として十分な本数だと思います。

新大阪からおおさか東線列車の直通

JRについては、新今宮方面からJR難波を経由してなにわ筋線に入る列車は、うめきた新駅から梅田貨物線を通って新大阪へ行くことになりそうです。この時点では、JR難波からなにわ筋線へ直通する列車(特急以外)が4本です。

梅田貨物線(うめきた新駅~新大阪駅間)ではこの4本がそのまま直通とすると、さすがに本数で見劣りがします。ウィキペディアのおおさか東線のページには、新大阪からさらに(中略)北梅田駅※に乗り入れとしているので、おおさか東線からの列車が直通すると、もう少し本数が増やせると思います。うめきた新駅から梅田貨物線の西九条方面に引き上げ線を設けると、多くのおおさか東線の列車をうめきた新駅まで運転させることができます。なにわ筋線と違って梅田貨物線はJRの路線なので、用地を確保できれば難しくないと思います。

ちなみに、おおさか東線からなにわ筋線、さらに大和路線まで直通させると、

久宝寺~放出(はなてん)~新大阪~うめきた新駅~JR難波~天王寺~久宝寺

と、ラケット状の環状運転も線路上(路線図上)ではできますが、案内が難しくなる(内回りと外回りでどちらが速く着くかわかりづらい)のと、ラケット状では車両運用も複雑になるので、おそらく行わないでしょう。

※北梅田駅とはうめきた新駅のことです

並行・近隣路線について

なにわ筋線が開業すると、並行して影響を受けそうな路線があります。

四つ橋線への影響

なにわ筋線の通る予定のなにわ筋は、地下鉄四つ橋線の通る四つ橋筋から西へ約400~800mの間隔で並行しています(大阪では南北方向の幹線道路を「筋」といいます)。

なにわ筋線が開通すると、並行する四つ橋線は影響を受けるのではないでしょうか。

なにわ筋線の本数を抑えるのが最も有効ですが、それでは両方に悪影響が出かねないので、なにわ筋線の駅設置を抑えるかもしれません。

なにわ筋線の駅を少なくしたとしても、四つ橋線の利用者(特に西梅田~大国町間)が減るために、本数も減らすことが考えられます。現在日中で1時間あたり平日10本・土休日8本運転しているところを、6本(10分間隔)にする、などです。

ちなみに、この記事を書いている3月28日には、市営地下鉄・バスの民営化を市議会で可決したとの報道があります。民営化となるとより収益には厳しくなることも考えられるので、なにわ筋線開業に伴い四つ橋線の本数減は大いにありえます。

<参考>

汐見橋線への影響

当初は南海汐見橋線へ直通させるともされたなにわ筋線。現在の計画では南海なんばの接続になりました。

汐見橋線は今では本数が30分間隔と都心部にしてはかなり少なく、列車も2両編成の各駅停車のみです。正式には高野線の一部ですが、実質的には支線の扱いです。

そんな汐見橋線が30分間隔ながらも残っていたのは、なにわ筋線へ直通させる計画があったからかもしれません。しかし、なんばを経由して南海本線へ直通させることになりそうなので、そうすると汐見橋線の存在意義が薄れてきそうです。利用の多くない路線なので、こちらは廃止されるかもしれません。

なにわ筋線は2030年に開業を計画している路線であり、この記事は2017年3月時点の情報に基づく推測です。この記事が開業時の状況を予言するものではありません

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