新大阪連絡線で阪急新大阪駅誕生? ラピートのJR新大阪乗り入れ? ~なにわ筋線と新大阪駅をめぐる話

てつトピてつコラム路線列車車両

正式に発表された、大阪都心を南北に貫くなにわ筋線計画。同時に阪急十三駅に向かうなにわ筋連絡線の調査・検討も発表されました。

一方、さかのぼること4日の5月19日、阪急阪神ホールディングスが発表した長期計画に、事業戦略のひとつとして「新大阪連絡線」が挙げられています。

さらに別の報道では、南海「ラピート」のJR新大阪駅乗り入れも報じられています。

今回は、新大阪連絡線となにわ筋線との関係、「ラピート」のJR新大阪乗り入れの問題点について書きたいと思います。

【追記】6月14日に最新の記事を書きました。こちらからどうぞ

阪急がなにわ筋線への直通を公の場で表明
画像:駅名標メーカーにて作成・なにわ筋連絡線と新大阪連絡線を予想したものです 先日、建設が決定したなにわ筋線へ、阪急電車の乗り入れが公の場で表明されました。 【追記】タイトルを一部修正しました。 なにわ筋連絡線は狭軌で整備 6月...
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なにわ筋連絡線と阪急新大阪連絡線

新大阪連絡線 十三駅駅名標予想

(画像:駅名標メーカーにて作成・新大阪連絡線を予想したものです)

なにわ筋線の建設計画発表に合わせて、北梅田駅北側でなにわ筋線から分岐し、阪急十三駅方面に向かうなにわ筋連絡線についても調査・検討を行うと発表しました。これは3月に報道されたとおりです。

なにわ筋線とは別に、4日前の5月19日に、阪急阪神ホールディングスが長期計画「長期ビジョン2025」を発表しました。

ここで、事業戦略のひとつとして「新大阪連絡線」が挙げられています。

新大阪連絡線とは

新大阪連絡線とは、当初、阪急京都本線のバイパス兼新幹線アクセス線として計画されていた路線で、淡路駅~新大阪駅~十三駅と、新大阪駅~神崎川駅(阪急神戸本線)の区間を計画していました。

現在はすでに淡路駅~新大阪駅間と新大阪駅~神崎川駅間の免許(事業認可)は失効していて、新大阪駅~十三駅のみ事業認可が残っています。

新大阪駅から西側の山陽新幹線に沿ったすぐ北側の土地は、駐車場などが続いています。また、新大阪駅近くにある阪急バスの高速バスターミナルのあるビルも、もとは新大阪連絡線の用地だったところです。

新大阪連絡線は、なぜなにわ筋線へ直通する?

長期計画自体ではなにわ筋線に触れられていませんが、発表のタイミングからしても(すでに3月になにわ筋線乗り入れの意向を示しています)、新大阪連絡線をなにわ筋連絡線・なにわ筋線に直通させようと思われます。

理由として、次のようなことが考えられます。

  1. 阪急がなにわ筋線へ直通の意思が明らかになっている
  2. 標準軌を敷設したところで、十三から分岐する支線になるのみで、しかも神戸・宝塚・京都方面から直通も難しい
  3. さらに、標準軌では地上(高架)線になるが、用地買収と建物の撤去が必要

淡路~新大阪間とつなげられれば標準軌でもメリットがありますが、新大阪~十三間だけでは標準軌で建設するメリットがほぼないです。十三駅の構造上、神戸・宝塚・京都方面からは方向転換か乗り換えが必要だからです。

新大阪連絡線を狭軌で建設し、なにわ筋連絡線、さらになにわ筋線から南海本線へ直通させれば、関空から大阪都心を経由しての新幹線アクセス線ができあがります。

新大阪駅の将来は有望

着目するのは、新大阪駅の将来です。現在でも東海道・山陽新幹線が通っていますが、将来は北陸新幹線が通る予定です。さらにリニア中央新幹線も乗り入れる意向があります。関西のみならず、関空からなにわ筋線・新大阪連絡線を経由して、日本全国へのアクセスルートになり得ます。

阪急阪神HDの長期計画に戻ってみると、関西で圧倒的No.1の沿線の実現するための戦略として、国土軸(東京-名古屋-大阪)の活力・アジアをはじめとする世界のパワーを沿線に取り込むとしています。新大阪連絡線をなにわ筋線に直通させて関空・新幹線アクセス線にしようとするのは、この戦略の一部ということがわかります。

ラピートの新大阪乗り入れ

ここで、一旦新大阪連絡線から離れて、南海特急「ラピート」の新大阪乗り入れについての話題です。

本来、なにわ筋線計画はJR・南海の関空アクセス改善が目的です。そのため、なにわ筋線の前々回の記事では、JR「はるか」・南海「ラピート」ともに、なにわ筋線へ直通するだろうと書きました。同時に「ラピート」については十三に向かうとしました。

しかしここに来て、「ラピート」がJR新大阪駅に乗り入れる報道がありました。

ラピートのJR新大阪駅乗り入れのメリット

なにわ筋線関連路線図

5月23日、なにわ筋線発表の6時間近く前に、産経関西版が報じました。「ラピート」をJR新大阪駅に乗り入れることで両社が合意したとしています。

正式発表ではないものの、その後日経も書いているので、「ラピート」の新大阪乗り入れはなにわ筋線~梅田貨物線経由となるのかもしれません。

梅田貨物線経由のルートは、十三経由と比べて距離が短く所要時間も少なくて済むのがメリットです。りんくうタウン~関西空港間で同じ線路を共有していて、すでに共同運行の実績があるのも追い風です。

ラピートのJR新大阪駅乗り入れのデメリット

逆に梅田貨物線経由のデメリットは、

  • JR新大阪駅でのホームと折り返しをどうするか
  • 1駅間のみJRの特急料金を適用するととても割高
  • 「はるか」との絡みもあり、やはりJRは嫌がるのでは

といったところが挙げられます。

新大阪駅でのホームは共用してもよさそうですが、料金をどうするかという問題は結構重要です。現在の料金体系をそのまま適用となると、新大阪~北梅田のわずか1駅間で1,170円(B特急料金・通常期)。現在の南海線内の特急料金510円の倍以上もかかります。「はるか」の新大阪~関西空港間の指定席特急料金(通常期)は1,490円。「ラピート」の料金は南海は安く抑えたい(その分乗客を取り込める)と思いますが、「はるか」との絡みもあって難航しそうです。

料金以前に、そもそも「はるか」と「ラピート」は、なにわ筋線開通後は西本町~りんくうタウン間でどちらを経由するかだけで、ほとんど同じルートを走ることになります。南海本線かJR阪和線かという違いですが、大阪市内~関空間のアクセスとしてルートの違いは所要時間・運賃・料金以外にほぼ意味はありません。

JRにとってほとんど同じルートに他社の特急を走らせるのは、やはりいい顔をしないはずです。国の調整が必要になると思いますが、それでも実際の運行を検討する段階で難航が予想されます。

阪急は新大阪連絡線で関空アクセスの巻き返しなるか

報道では「ラピート」はJR新大阪駅への乗り入れが報じられています。

しかし上で書いたように、克服すべき課題がいくつかあります。特に「はるか」と「ラピート」の調整は、両社とも上場企業ですしいくら国が関与しても難しい問題です。「ラピート」のJR新大阪駅乗り入れは、JR西日本側にしてみれば逸失利益につながるからです。

ここで阪急が南海に対して好条件を示せば、「ラピート」が阪急の新大阪連絡線を経由して新大阪駅に乗り入れることも可能かもしれません。

南海側のメリットとしては、JRの駅と違い南海側での駅の整備が不要なこと、新線の始発駅なので運行の調整がしやすく、本数も多く確保できそうなところ。

阪急側のメリットとしては、何よりも関空アクセス特急を手に入れられることです。沿線や新大阪から関空アクセスをアピールできれば、大きな沿線・企業価値の向上になります。

新大阪連絡線の車両

なにわ筋線開業に合わせて、南海は「ラピート」用に新型車両を用意すると思いますが(理由は地下線対応と現在の車両の老朽化)、相互乗り入れになるのであれば、もしかしたら阪急側でも「ラピート」向けの有料特急用車両を用意することになるかもしれません。

南海からの通常列車についても、JRの梅田貨物線にはすでにおおさか東線の列車が乗り入れることが有力視されているため直通させる余地は少なく、なにわ筋連絡線・新大阪連絡線に直通すると思われます。

阪急はなにわ筋連絡線・新大阪連絡線開業時に車両を用意することになると思いますが、なにわ筋線に直通するJR・南海に合わせて20m級4扉の阪急マルーンの車両が登場するのでしょうか。十数年後のことで、しかも前例がないのでイメージできませんが、南海からの片乗り入れは考えづらいため、有料特急車はともかく一般車両は阪急側でも用意すると思います。

<参考資料>

過去のなにわ筋線関連の記事はこちらからどうそ。

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