JR西日本が新たな長距離列車を検討。
~旅行をもっと身近に、ここでしか楽しめない体験を~

てつトピてつコラム列車

山陽本線車窓からの周防大島

山陽本線神代~大畠間から眺める周防大島 2014-03-16

11月29日に、JR西日本は豪華寝台列車「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の発表の場において、気軽に旅行を楽しめる新たな長距離列車を検討していることも発表しました。

追記6月20日に「新たな長距離列車」正式に発表されました。それを受けての記事はこちらから

ついに発表! JR西日本の「新たな長距離列車」、運行や料金も予想
JR西日本が正式に「新たな長距離列車」の導入を発表しました。 瑞風とは違い「リーズナブルな価格」で「気軽に鉄道の旅」を楽しめる列車を目指すとしています。 流行の観光列車とは一線を画すようなもので、大いに期待したいと思います。 追記6月...
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まずは瑞風の旅について。

瑞風の運行の詳細が発表され、運行開始は2017年6月17日。

すべて旅行商品(パッケージツアー)として発売され、山陽と山陰で1泊2日のコースがそれぞれ2つ(京都・大阪~下関のどちらか片方向)と、関西発着の2泊3日山陰山陽周遊コースが1つ。

1人あたりの旅行代金は、1泊2日コースのロイヤルツイン客室で27万円から、2泊3日の山陰山陽周遊コースのザ・スイート客室では最高の125万円(いずれも2名1室)です。9月出発まで販売され、12月5日10時予約開始とされています。

気軽に旅行を楽しめる長距離列車も発表。

瑞風のツアー詳細発表と同時に、「新たな長距離列車」の運行を検討していることも発表されました。

この「新たな長距離列車」は、気軽に利用できる列車にする意向があるようです。

まだ検討が始まったばかりで、「いつから」「どこを」運行するかは決まっていなくて、具体的にどのような列車にするかは、これからのようです。

どのような車両になるかがカギ。

まず、車両をどうするか決まっていなくて、電車にするのか、「瑞風」のようなハイブリッドにするのかが未定です。

しかし、車両の動力方式は、どこを運行するかにかかわります。ハイブリッドであれば架線のない路線も走れますが、電車では当然ですが電化されている路線だけになります。電車であれば、直流電車か交直流電車かでも運行できる路線が変わります(交直流電車ならば、交流電化の北陸地区も運転できます)。

車両の内装もこれからで、座席だけなのか、寝台もあるのかはわかりません。しかし「ノビノビ座席のようなカーペット式の設備にする可能性もある」(来島社長談・東洋経済の記事より)と語っているので、夜行列車が念頭にあるのかもしれません。

いずれにしても、どのような車両になるかで、この新・長距離列車の方向付けが決まりそうです。

将来は他社線への直通も?

運行区間については、乗りものニュースの記事によると、まずはJR西日本管内とのことです。

しかし、「まず」と言っていることからしても、将来的に他社線への直通も考えているのかもしれません。

もちろん合意の上でということになりますが、JR会社間を跨ぐ列車は減少傾向にある中、可能性があるのであればどうしても期待してしまいます。

新たな長距離列車を勝手に想像してみた。

以上のことから、この新・長距離列車がどのようなものになるか、勝手ながら想像してみました。

  1. 車両は新製しハイブリッド動力、4両~6両程度の短・中編成。
  2. 運行としては、ツアーもありですが、通常のきっぷでも乗れるよう、臨時の特急列車。
  3. 設備は、夜行運行を念頭に置いて、カーペットカーと個室寝台。半室ラウンジまたは展望車。6両であれば食堂車つき。

(1)については、短編成であればさまざまな線区に入れる上、定員も少なくなるので売れ残りを減らすことができます。乗り心地の点では客車に分がありますが、機関車(および機関士)を用意する必要があります。

難点は、当然ですが新しく造るので費用がかさむところです。

(2)についてですが、さすがに毎日運転の定期列車はハードルが高すぎます。まずは週末、多客期は1日おきくらいの臨時列車で。快速列車であれば18きっぷでの利用も可能になりますが、採算面で厳しくなると思い特急としました。

(3)については、安さを求める層に応えつつも、プライベートなスペースを求める人も少なくはないと思うからです。

もはや開放型寝台が誰にでも受け入れられる時代ではありません。寝台車であれば個室は必須です。サンライズ用285系は1人用個室の方が多いですが、こちらは観光用途なので、2人用の個室をメインとします。

寝台だけでは乗車した人同士につながりは生まれづらいので、ラウンジを設けてコミュニケーションの場もつくります。

6両編成であればですが、食堂車もついていたらと思います。絶景の車窓を楽しめるのはゆっくりとした鉄道(在来線)の旅ならではです。高速で移動する新幹線や飛行機、座席スペースに限りがあるバスではできない旅の楽しみです。

メニューは高級感を打ち出すのではなく、その土地でしか味わえない食材を使ったものを。食堂車を連結するのが難しいならば、限定の弁当でもいいかもしれません。

食堂車を営業するならば、車窓と食事を楽しめる時間帯に運転する必要があります。

具体的には夕方16時~19時と朝です。これらの時間を意識すると、運転区間は、京都・大阪~(呉線経由・下りは朝、上りは夕方に経由)~広島〈山陽方面〉、京都・大阪~下関〈山陽方面〉、京都・大阪~(伯備線または山陰本線経由)~米子・出雲市〈山陰方面〉、京都・天王寺~新宮〈南紀方面〉といったところでしょうか。

他社線に直通できれば、北陸・信州方面で、大阪~金沢・富山や南小谷、最長で長野まで可能かも。JR他社よりも平行在来線3セクの方が可能性は高いのではないかと個人的には思っています。

ここでしか楽しめない、旅行に行きたくなる列車の開発を。~新たな長距離列車に期待するもの~

瑞風の対極ということで、基本はカジュアルテイストです。

現在日本で運行されている、または運行される予定の寝台列車は、瑞風といい、「ななつ星in九州」も「TRAIN SUITE 四季島」も豪華クルーズトレインです。

豪華列車は、確かに「いつかは乗りたい」と思う憧れの存在ではありますが、憧れであるためには旅行の裾野を広げ、ステップアップする仕組みが必要です。

このため、新たな長距離列車では、旅行の裾野を広げる役目になってもらいたいと思います。そのためには、現在は豪華列車しかない夜行列車で運行してこそ、旅行をもっと身近にして裾野を広げるのではないでしょうか。

しかし、ただ単に夜に移動するだけでは、新幹線+ビジネスホテルや、夜行高速バスにかないません。

乗ることで楽しめる列車を。そして目的地に着いてから、次の観光につながるような。

他ではできない、ここでしか楽しめない体験ができる列車にしてほしいと思います。

追記6月20日に「新たな長距離列車」が正式に発表されました。上で書いたことのうち、「カジュアルテイスト」「6両程度の短編成」「カーペットカー」はほぼ当たり。「半室ラウンジ」は1両まるごとフリースペース車両と発表されました。他は残念ながら外れてしまい申し訳ないです。詳しい内容はこちらからどうぞ。

ついに発表! JR西日本の「新たな長距離列車」、運行や料金も予想
JR西日本が正式に「新たな長距離列車」の導入を発表しました。 瑞風とは違い「リーズナブルな価格」で「気軽に鉄道の旅」を楽しめる列車を目指すとしています。 流行の観光列車とは一線を画すようなもので、大いに期待したいと思います。 追記6月...
<参考資料>

※すべて2017年6月17日閲覧

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