11月24日まででしたが、通りすがりの新宿駅西口の地下広場で、土木関連の図面などが公開されていた土木コレクションにて、新宿駅を立体的に完全模型化したものがありました。
いわば新宿駅の骨組みとも言えるものです。
新宿駅を立体的に完全再現。つながりが丸わかり。
普段通っているところは、どことどこがつながっているかわかっていても、立体像は把握するのは難しいのではないでしょうか。
通路以外にも建物がありますし、そもそも地下であれば土や壁をへだてて隣に何があるかわからないものです。
これを見れば新たな発見があるかもしれないですよ。
まずは全体像を。
通路やホームといったものを木製で1/100スケールで再現したものですが、かなり大きなものです。
わかりやすくするように、実際にはどこなのか、写真に説明を加えました。
この写真では歌舞伎町からJR新宿駅方向を眺めています。
中央で左右に波打ったものは、地下鉄丸ノ内線の線路の上にある通路(メトロプロムナード)です。この通路は、周辺の建物では地下1階と地下2階の中間となる深さにあります。
中央少し上に並んでいるのがJRのホーム。ここが地上(地表面)になります。
右の方に大江戸線新宿西口駅のホームがあります。丸ノ内線の通路から、階段・エスカレーターでかなり深いところまでもぐっているのがわかりますね。
写真の外になりますが、右下角の通路の先には西武新宿駅があります(もちろんここも模型化されていました)。
JR線ホーム周りを詳しく。
JRのホーム部分をアップしてみます。ホームには番線(のりば)を加えました。
よく見てみると、この写真には5・6番ホームが見えません。当然3・4番ホームと7・8番ホームの間にあるのですが、JR新宿駅で最後に造られたホームのため、用地の空いていた南側にずれて設置されたからです。
左奥の南口コンコースから、JRホーム、ホームから降りたところにある東口・中央東口・ルミネエスト地下1階が広がり、さらに階段を降りると丸ノ内線(1つ前の写真参照)となり、奥から手前に向かって段が降りてくる様子がわかります。これは実際の地形に沿っていて、写真手前側(池袋方面)が低くなっているからです。
西口にまわってみる。
次に西口側から見てみます。
こちらは新宿エルタワーあたりからの視点になります。路線バスの発着するバスターミナルののりばが4つ平行に並んでいるのが特徴的です。中央の白い部分がこのイベントの開催されている地下広場です。
ヨドバシ本店あたりからの視点。ちょっとわかりづらいですが、京王線の改札とホーム、小田急線地上ホームと地下ホームが層になっています。
小田急地下ホームと京王線改札コンコースが隣り合っているのがわかります。実際には壁に隔てられていて、反対側は全く窺い知れません……
小田急と京王は横に並んでいるのはわかっていても、こうして見ると京王線ホームが低いところにあるのが改めてわかります。
最も高低差のある南口。
南口の東側(高島屋南館あたり)からの視点の写真です。
まず目に飛び込んでくるのは、1本だけ長く延びたJRのホーム。西口の写真で見えなかった5・6番ホームです。位置する場所だけでは、もはや代々木と言えそう。
京王新線・新宿線ホームと、大江戸線ホームへ向かうエスカレーターの長さも特徴的です。相当深いところにホームがあるのがわかります。
南口の西側(大江戸線の駅付近)からの視点。奥行のためかJR1~6番ホームは低い位置にあるようにも見えますが、JR線ホームと小田急線地上ホームは同じ高さにあります。
中央で高く積み上がっているのが、JR新南口コンコースとバスタ新宿。実際には線路東側の脇にあるミライナタワーとともに最も新しい建物です。既に線路の敷かれている真上によく建てたという感じです。
そして左下の低いところにあるのが、ひとつ上の写真にもあった京王新線ホーム。バスタの高さと新線の低さが際だっています。
新宿三丁目駅の構造を俯瞰。
最後に新宿駅の東隣にある新宿三丁目駅です。
手前が都営新宿線、右奥が丸ノ内線、左奥が副都心線です。写真では丸ノ内線と副都心線が上下につぶれたX形状に交差していますが、実際には直角に交差しています。地上では新宿三丁目交差点(かつての新宿追分)にあたり、Xの右側にあたるところに伊勢丹があります。
丸ノ内線と副都心線は道路の地下を通っていますが(丸ノ内線は新宿通り、副都心線は明治通り)、写真ではこの両線と都営新宿線とあたかもY字状につながっているようにも見えます。しかしながら、実際にこのあたりの道に詳しい方ならわかると思いますが、追分付近から斜めに延びる都営新宿線に沿った道などありません。
道路の下を通ることの多い地下鉄ですが、都営新宿線の新宿三丁目駅は道路の下に造られていない珍しい地下鉄駅だといえます。
比較のためにGoogleマップも置いてみましたが、白い線の道路と違うところに濃いピンクの地下道が広がっています。
橋の模型も展示。
同時に都建設局が主催した橋と土木展もありました。
永代橋(上)や蔵前橋(下)の1/100スケールの模型も展示されていました。
こちらは、永代橋の実物大の支承。支承とは、橋桁と、橋脚などの土台との間にいわば緩衝材として挿入される部材で、耐震性にも大きな影響を与えます。
支承は橋にいくつかあるとは言え、橋全体からすると人とさほど変わらない細い直径で支えているとは驚きです。
最後にまとめ。
新宿駅は毎日多くの人が利用していますが、普段通っているところも、そうでないところも、こんなにも上下に積み重なっているようすがわかりました。
土地に限りがあるところを工夫して拡げていった、先人の智恵の積み重ねとも言えるかのようです。