延期となっていたJR中央線快速電車へのグリーン車連結が、2023年度末に開始と発表されました。
連結されるグリーン車には、中央線の混雑に合わせて両開きドアを採用。
あわせて、普通車へのトイレ設置も発表されました。
中央線快速グリーン車、2023年度末にサービス開始
画像:JR東日本のプレスリリースより(PDF 298KB)
当初2020年度に開始としていた中央線快速のグリーン車サービスですが、バリアフリー対応などの理由により延期されていました。
このほど工程の調整がついたようで、中央線快速用のE233系0番台にグリーン車を2両連結し2023年度末にサービス開始と、4月3日(火)にJR東日本が発表しました。
中央線へのグリーン車投入により、主要5方面※1すべてに普通列車グリーン車が導入となります。
※1:東海道線・中央線・東北線・常磐線・総武線方面
グリーン車で初となる両開きドアの採用
混雑の激しい中央線ということで、新造車両のグリーン車として初めて両開きドアを採用しました。
東京駅における短時間での折返しや、各駅でのスムーズな乗降を可能とするため
という理由のようです。
主要5方面では中央線以外の各路線では近郊形車両が走るところ(常磐線快速は近郊形と通勤形が共存)、中央線のみすべて通勤形車両でした。そのくらい混雑が激しく、ラッシュ時の運転間隔も約2分と有数の短さの中央線では乗降に時間をかけることはできないため、両開きの採用となったのでしょう。
グリーン車の「格」として両開きはふさわしくない、また国鉄・JRの特急車両として初めて両開きを採用したJR東海373系を思いだす方もいるかもしれませんが、両開きのグリーン車導入は混雑の激しい中央線ならではということだと思います。
中央線グリーン車の運転区間
中央線快速電車の運転区間と同じです。
- 中央線快速:東京~大月間(オレンジ色の帯の全列車)
- 青梅線:立川~青梅間(中央線直通列車)
グリーン車導入発表時と同じ区間です。
グリーン車の連結位置
東京寄りから4・5両目(4・5号車)の2両にグリーン車を連結します。
既存の車両を置き換えるのではなく、現在の3号車と4号車の間にグリーン車2両を挿入するかたちです。そのため、編成両数が10両から12両に延びます。
4号車のグリーン車にはトイレが設置されます。
グリーン車116両・58編成分を新造
既存の車両からの改造ではなく、グリーン車導入に際して新造します。
製造両数は116両・58編成分。
現在のE233系0番台、T編成(10両固定編成)・H編成(6+4両分割編成)は合計59編成あるので、2023年度末までに使用数が1本減ることになります。
余剰分の1本は、青編成(青梅・五日市線用編成)にするのか、他線へ転出するのか不明ですが、何か動向はありそうです。
中央線快速電車にトイレが設置へ
現在は多くの通勤電車同様に、中央線快速電車にはトイレはありませんが、グリーン車サービス開始にあわせて、普通車にもトイレが設置されます。
対象は、グリーン車と同じく中央線快速のすべての編成です。
モハE233形200番台へトイレ設置
トイレが設置されるのは、現在の4号車(東京寄りから4両目)。グリーン車連結後は、6号車となります。
4号車はモハE233形200番台で、編成の組み換えがなければですが、一般車両としては珍しくモハにトイレが設置となります。
2019年度末よりトイレ使用開始
今年度(2018年度)よりトイレ設置工事が始まり、2023年度まで順次実施します。
早い車両では2019年度末よりトイレが使えるようになります。
やっぱりいざというときにトイレがあれば安心
ツイートを見た限りでは、トイレ設置については否定的な意見が多くありました。
理由としては、やはり混雑の高さからで、立てるスペースが少なくなるというものです。乗車するにあたってはトイレはデッドスペースですからね。
しかしグリーン車が連結されれば、そちらに移る方がいるので普通車の混雑は多少減ると思います。そうなればトイレ分くらいのスペースはできるのではないでしょうか。
急を要するときに、次の駅まで待たなくても車内にトイレがあると安心感が違うと思います。
青梅駅のホーム新設工事も再開
グリーン車導入の時期が決まったことにより、中断していた青梅駅のホーム新設工事も再開すると発表がありました。
グリーン車と同じく、こちらも2023年度の完成予定です。
中央線はグリーン車導入で新時代へ
JR東日本E233系0番台 快速 東京行き トタT7編成 クハE233-7 @武蔵境 18-02-12
導入延期が報じられた約1年前に、「5年も延期しない」という見通しがありましたが、その通りに当初から3年遅れの2023年度末にグリーン車導入となりました。
新たに両開きドアを採用してでもグリーン車を導入するなど、やはりJR東日本の意欲が感じられます。特に中央線が基幹路線である八王子支社にとっては並々ならぬものがあるでしょう。首都圏の支社の中では唯一普通列車グリーン車が導入されていなかったですから。
自由席とはいえ立客はほぼいないグリーン車は、最近私鉄で導入が進む着席保証サービスに近いものといえそうです。人口が減りつつある時代において、路線間の利用者取り込み競争が進む中でグリーン車を導入することは、路線としてのブランド力を向上させ他線に対抗できうるでしょう。
グリーン車導入で中央線は新時代へ踏み出しそうです。
また、普通列車のグリーン車といえば、それまでは東海道線など中距離で近郊形の「列車」についているイメージでしたが、通勤車両に連結ということで、普通列車のグリーン車としても新たな時代へ踏み出す感じです。
中央線で成功すれば、もしかしたら他の通勤路線へ広がるかもしれません。その点でも中央線快速へのグリーン車導入は新たな時代の幕開けとなるかもしれません。
- JR東日本 ― 中央快速線等へのグリーン車サービス開始時期および車内トイレの設置について(PDF 298KB/2018年4月3日)
- JR東日本八王子支社 ― 青梅駅新設ホームの完成時期について(PDF 42KB/2018年4月3日)