沖縄でゆいレールにつづく2つめの鉄道路線の計画が進んでいます。
沖縄本島の那覇~名護間約70kmを結ぶ本格的なもので、この新路線のルートが事実上決定しました。
那覇~名護約70kmを1時間で結ぶ鉄道新線
3月30日(金)、県が設置した有識者による検討委員会が、推奨ルート案の書案を翁長知事に手渡しました。
今後、県がこのルート案をもとに計画を策定し、政府に整備や早期の取り組みを働きかけるものとみられます。
那覇~名護間のルート案
ルート案はA~Dの4つに加えて、各案の一部を修正したB・C・Dの派生案があり、このうち“C派生案”を推奨ルート案として3月30日に答申しました。
推奨ルート案となったC派生案は、那覇近郊や中部太平洋側といった人口集積地や、恩納村の東シナ海沿岸のホテルが多く立ち並ぶところを通り、途中は那覇市・浦添市・宜野湾市・北谷町・沖縄市・うるま市・恩納村・名護市の8市町村を通るルートです。
推奨ルート案・C派生案のルート(下記「おきなわ鉄軌道ニュース第7号」より引用)
新線らしく、都市部・住宅地では地下トンネルとなり、うるま~名護間は地上ですが平地が少ないところなので山岳トンネルが多くなりそうです。
そのため車窓を楽しめるところは少ないかもしれませんが、もしかしたら恩納村付近では上に挙げた写真のような海岸を望めるところがあるかもしれません。
那覇~宜野湾間は国道58号と330号のどちらかの地下を通るルートとなっています。58号は東シナ海近くを通り、330号は島の中腹を通るルートで、330号側の方が沿線人口が多く利用者も見込めます。
方式は未定、小型鉄道やモノレールなどを想定
鉄道方式は未定で、次のいずれかが候補として挙がっています。
- 小型鉄道
- モノレール
- AGT(新交通システム)
- HSST
- LRT
“小型鉄道”とは、ウィキペディアでは鉄輪式リニアモーターカーとなっています。いわゆるミニ地下鉄が鉄輪式リニアモーターカーによる鉄道で、大阪メトロ長堀鶴見緑地線や都営地下鉄大江戸線などがあります。
いずれにしても、大量輸送するために専用軌道としています。
総事業費約6000億円、建設期間15年で黒字化まで30~40年
建設費用などの総事業費は、330号経由で6,100億円(58号経由では6,000億円)を想定。
建設期間は、地下や山岳トンネルが多くなることから各案(12~15年)の中でもっとも長く、15年を見込んでいます。
上下分離方式を採用した場合で、30~40年で黒字化できるとの予測です。長い期間のようですが計画案の中ではこれでも少ない方で、D案・D派生案では50年超、他のルート案では黒字転換しない予測となっていました。
今世紀なかばには開業か
建設期間が15年というと、早ければ2040年ころには開業するかもしれません。
観光客が増えている現在は渋滞も深刻で、完成まで15年待てるのかという問題はありますが、本島内の縦断移動には効果を発揮しそうです。
沖縄の鉄道は一度はなくなりましたが、2003年に開業したゆいレールにつづき、今世紀なかばには複数の路線になると思うと、期待がふくらみます。
- 読売新聞(YOMIURI ONLINE) ― 沖縄に鉄道、県がルート案…那覇-名護70キロ(2018年3月31日)
- 沖縄タイムス+プラス ― 沖縄鉄軌道:識者は「北谷経由案」を推奨 翁長知事「しっかりやる」(2018年3月31日)
- 沖縄タイムス+プラス ― 沖縄鉄軌道ルート、北谷通過案を選定 需要・アクセス面で優位(2018年1月19日)
- 沖縄鉄軌道(沖縄県企画部交通政策課) ― おきなわ鉄軌道ニュース第7号(ファイルサイズ注意・PDF 6.28MB/2018年2月5日)