3月25日(土)に、東急東横線・目黒線でダイヤ改正を行います。
ダイヤ改正の大きな内容は、東横線・祐天寺駅の通過線の使用開始による速達性向上と、東横線で座席指定列車「S-TRAIN」の運転が始まることです。
祐天寺駅の通過線の使用開始
今まで相対式ホームの2面2線だった祐天寺駅。
間に上下共用の通過線が1本造られ、2面3線になります。
この通過線は上り線(渋谷方面)の電車が直進する本線となり、上りホームに入る方は分岐側になります。
通過線の使用開始により、朝ラッシュピーク前後の通勤特急・急行列車の所要時間を
最大3分短縮
と発表しています。
現在の待避駅の間隔
現在、東横線で緩急接続(特急など優等列車と各駅停車の接続)・通過待ちのできる駅は、自由が丘駅・元住吉駅・菊名駅と、起点の渋谷駅です。下の表は各駅停車が待避できる駅とその間隔です。
駅名 | タイプ | 駅間の営業キロ |
---|---|---|
(元町・中華街駅) | なし | ― |
(横浜駅) | なし | 4.1 |
菊名駅 | 緩急接続 | 横浜から5.4 元町・中華街から9.5 |
元住吉駅 | 通過待ち | 6.7 |
自由が丘駅 | 緩急接続 | 5.1 |
渋谷駅 | 緩急接続 | 7.0 |
※元町・中華街~菊名間の9.5キロは、東急と横浜高速の営業キロの合計
最も間隔が開いているのは、菊名~元町・中華街間ですが、混雑する渋谷寄りとは反対側なので間隔が開いていてもあまり問題はないと考えます。
それに対して、東横線内で最も間隔が開いているのは、混雑する渋谷~自由が丘間の7.0キロです。
今回、この間にある祐天寺駅が通過待ちできる駅になるので、渋谷方面への列車の詰まりの解消も期待できます。
祐天寺駅の通過線は、スピードアップよりも遅れの減少に効果あり?
これが、祐天寺駅の通過線ができると、先の表は次のようになります。
駅名 | タイプ | 駅間の営業キロ |
---|---|---|
(元町・中華街駅) | なし | ― |
(横浜駅) | なし | 4.1 |
菊名駅 | 緩急接続 | 横浜から5.4 元町・中華街から9.5 |
元住吉駅 | 通過待ち | 6.7 |
自由が丘駅 | 緩急接続 | 5.1 |
祐天寺駅 | 通過待ち | 3.8 |
渋谷駅 | 緩急接続 | 3.2 |
※元町・中華街~菊名間の9.5キロは、東急と横浜高速の営業キロの合計
人が集中する渋谷寄りの間隔が短くなっています。
祐天寺~中目黒間は東横線で最も混雑する区間と言えて、平成27年度(2015年度)の朝ラッシュ時(7:50~8:50)の混雑率は163%です。中目黒駅は地下鉄日比谷線への乗り換え駅で、多くの人が下りるので停車時間が長くなりがちで、遅れや詰まりの原因になっています。
そのひとつ手前の祐天寺駅で各駅停車が通過待ちをすれば、列車の詰まりが少なくなるのではないでしょうか。中目黒駅で先を行く列車が停まっていても、後ろに続く列車は手前の祐天寺駅で間隔を調節できるからです。各駅停車が通勤特急・急行を先に通すことによって、通勤特急・急行は時間が短縮され、各駅停車のダイヤに余裕ができそうです。
列車の詰まりが解消・減少すれば、遅れも少なくなることを意味します。上にも書きましたが、最大3分とスピードアップとしてはインパクトが弱いかもしれませんが、列車遅延の減少が、効果として大きいのではないでしょうか。
東急初の有料座席指定列車になる「S-TRAIN」
こちらは土曜・休日のみになりますが、副都心線を経由して西武池袋線へ直通する座席指定列車「S-TRAIN」が走りはじめます。
使用される車両は、東急の車両ではなく、S-TRAIN用に新車として登場する西武40000系ですが、東急で初の有料座席指定列車です。
午前には、元町・中華街発西武秩父行きの1号と、飯能発元町・中華街行きの2号が運転されます。
夕方から夜間には、西武秩父発元町・中華街行きの4号と、元町・中華街発飯能行き3号、所沢行き5号が運転されます。
停車駅は次の表のとおりです。
西武秩父方面 | 駅名 | 元町・中華街方面 |
---|---|---|
● | 元町・中華街 | ● |
乗 | みなとみらい | 降 |
乗 | 横浜 | 降 |
● | 自由が丘 | ● |
● | 渋谷 | ● |
● | 新宿三丁目 | ● |
降 | 池袋(副都心線) | 降 |
● | 石神井公園 | ● |
● | 所沢 | ● |
● | 入間市 | ● |
● | 飯能 | ● |
● | 西武秩父 | ● |
※「乗」は乗車のみ可能、「降」は降車のみ可能、渋谷~池袋間(東京メトロ線内)のみの利用は不可
座席指定料金(大人)については、次のようになっています。(事前料金)
- 西武線内300円(元町・中華街~所沢間から西武秩父発着の場合はさらに+200円)
- 東京メトロ線内210円
- 東急・みなとみらい線内350円
乗る区間に応じて、上の料金を合計します。
また、上の料金は事前に購入したときの料金で、車内精算は合計額にさらに+200円の加算です。
指定券は、東急線内では停車駅となる渋谷駅、自由が丘駅、横浜駅の窓口・指定席券売機で発売されるほか、東横線・みなとみらい線各駅の自動券売機でも購入できる予定です。
指定券の発売は、3月18日(土)10:00から予定しています。
目黒線では急行を増発
目黒線では、平日の上りの9時台に急行が2本増発されるほか、22時台に上下1本ずつ急行の増発などが行われます。
また、深夜24時台で、現在目黒始発の2本が地下鉄からの直通電車になり、都心部からの深夜帯で利便性がアップします。
土曜・休日ダイヤでも、日吉行き終電が4分繰り下がります。
田園都市線などについては4/21に改正予定
田園都市線・大井町線・世田谷線では、東武線(本線系統)のダイヤ改正に合わせて、4月21日(金)にダイヤ改正が予定されています。詳細は後日発表とのことです。
<参考資料>
- 東急電鉄「3月25日(土)に東横線・目黒線でダイヤ改正を実施 列車の増発や座席指定列車の運転開始などにより、ますます便利に!」
- S-TRAIN(Sトレイン)- 有料座席指定列車
- Reports for the future ~未来へのレポート~「東急東横線祐天寺駅通過線新設工事(2015・2016年取材)」
- 国土交通省「東京圏における主要区間の混雑率」(PDFファイル)