3月12日(日)に行われた、西武鉄道の新型通勤電車・40000系のお披露目イベントに行ってきました。
来たる3月25日(土)から「S-TRAIN」として走りはじめる40000系は、クロスシートとロングシートを組みかえられる、デュアルシートを備え、通勤電車でありながら座席指定列車にもなるのが特徴です。
運転中のときと違い、じっくり見られるのはイベントならでは。お披露目イベントの様子と、S-TRAINが今後どうなるかについてご覧ください。
※10号車のパートナーゾーンについては、人が多く見学できなかったので写真は撮っていないです。
※イベント内容へ直行したい方は、こちらからどうぞ。
イベント当日は絶好の新車お披露目日和
イベントが行われた3月12日は、天気も晴れた上に風も弱くて、早春の行楽日和といった日でした。
お披露目イベントの会場は西武球場前駅(構内)です。うちからだと武蔵野線を使った方が近いのですが、一度都心まで出た方が安いので、大回りして行きました。
開始は10:30でしたが、そこまで早く起きられなかったので、イベント会場の西武球場前駅に着いたのは昼前です。
イベント開始から1時間以上は経っていましたが、まだ入場の列は長く続いていました。写真奥の西武ドームは、ネーミングライツで今シーズンからメットライフドームというそうで(行ってはじめて知りました)。都合何回目の名称変更でしょうか?
イベントに来ている人が多いのですが、列を横切るように少年野球の選手がけっこう通りすぎていました。ドームで試合がないときは練習場で大会や練習試合が行われているのでしょう。どちらにしてもドームで試合やイベントがないのに人が集まっているのは1年でもそうそうないでしょう。
イベント入口は、改札口から道路側(ドームの反対側)の通用口から。写真の白い部分は駅舎とホームの屋根です。
1時間近く待ってから実際に入場。座席指定のS-TRAINに使われるといっても、扱いは通勤車なんですね。
お披露目イベントへ・まずは外観から
通用口からイベント会場に入りました。
入ってからは、まず写真撮影の列に並びます。しかしここからが長く、実際に撮る番になるまでまた1時間近く待っていました。
1時間近く経ってから、ようやく撮影できました。2編成とも集まっていて、4・5番ホームに停まっています。
(西武球場前駅(狭山線ホーム)は櫛形ホームの3面6線で、普段はドーム寄りの1・2番ホームを使っています)
2本そろった正面を撮ったのがこの写真。自分のコンパクトデジカメだとうまく撮れなかったですが、行先表示は、左(5番ホーム・40102)がS-TRAIN西武秩父行き、右(4番ホーム・40101)がS-TRAIN元町・中華街行きです。
元町・中華街行きの40101をななめ前方から。ドアと間口の縁に現在のコーポレートカラーの青(水色)と緑(黄緑)がグラデーションで描かれています。ドア部分の色を強調するのは、E235系に続くトレンドとなるでしょうか。
ドアには開閉ボタンも付いています。秩父まで直通するので、ドアの個別開閉は冬場の車内保温に役立ちそうです。
側面の行先表示も撮っておきました。
4番ホームに停まっていた電車・40101編成の、S-TRAINの列車名表示(2号車・40201)。
同じく40101編成・S-TRAIN元町・中華街行きの側面表示。
5番ホーム側・40102編成のS-TRAIN西武秩父行きです。
つづいて内装を見学
40101編成は内覧もできるようになっています。
5号車の開いているドア前に、40000系のパネルが置いてあります。ここから中に入ります。
40000系の走行イメージのパネルです。他にもエクステリア・インテリア・システム(走行機器)・バリアフリーについて説明したパネルもありました。
クロスシートの様子
車内については、まず注目となるクロスシートからです。
ちょっと立っている人が多いですが、クロスシート車内の様子です。ドア間は3列。ロングシートとしても使用するので、つり革がクロスシート部分にも続いているのが転換クロスシート車両などとは違うところです。
座席の背面には、ポケットこそ付いていないですが、引き出し式のフックとドリンクホルダーが付いています。このあたりは有料の列車ならではです。
座席の下半分は桜の花びらをイメージした柄です。親しみのある空間を演出
するとしています。
クロスシート1組分はこんな感じ。背もたれはリクライニングできない分、ある程度の傾斜がついています。座面は最近硬いものが多いですが、40000系ではロングシートの通勤車に比べると軟らかいです。
向かい合わせにするとこういった様子になります。4扉車のドア間に3列のクロスを詰めているので、座席を向かい合わせるとさすがに足の部分は窮屈に感じるかもしれません。
窓の下に通勤電車としては異例ともいえる電源コンセントがついているのが特徴的です。
ロングシートの様子
つづいてロングシートの車内の様子です。
ロングシートにした時の車内です。こちらは一見すると通常の通勤電車と同じように見えますが、クロスでも使うため、袖仕切り部分に天井につながるポールがないです(関西では一般的ですが、関東では少数派です)。ただ西武ではかつての3扉車にも袖仕切りにポールなしの車両があった気がします。
ロングにしたときの座席1組のアップ。クロスでも使うため、ロングでも肘掛けがあるのが特徴です。2席1組の間の肘掛けは収納式です。
ほかに車内で特徴的なところ
座席以外にも新たに導入されたものがあります。
車内では中吊り広告に替わり、モニターを横に2台並べたデジタルサイネージになりました。各ドアの上にもモニターが2台設置されています。
有料列車に使用され、かつ長距離を走ることになるので、編成中4号車(1ヶ所)にトイレが設置されました。車いす対応・おむつ交換台付きです。
ほかにも、車内でのフリーWi-Fiや、プラズマクラスターも搭載されています。
S-TRAINの今後の展望
※あくまで個人的な予想となります
実際に走りはじめるまで、あと1週間あまりになりました。関東で本格導入されるデュアルシート車両として、東武東上線TJライナー用50090系につづき2番目ですが、デュアルシート車両が地下鉄に直通し有料列車として最大4社直通する列車は初めてです。東急にとっては初の有料座席指定列車にもなります。
関東では、この後に京王でもデュアルシート車両の5000系が造られ、並行するJR中央線にもグリーン車導入が予定されるなど、「お金を払ってでも座りたい」ニーズは確実に増えているようです。
S-TRAINでも、平日の夕方~夜間の豊洲~所沢間は3往復が運転されますが、下り所沢行きは人気が出ると思います。40000系が今後増えれば、平日夜下りのS-TRAINも増発されそうな気がします。その反面、夕方~夜間の上り豊洲行きでどれだけ人を集めるかは未知数です。下り列車への送り込みとは思いますが、こちらはロングシートでの運用でいい気もします。
休日は、最長で元町・中華街~西武秩父間113.6キロを直通します。西武線沿線から横浜方面は利用がある気もしますが、東横線沿線から秩父へどれだけの人を集められるかが今後のカギでしょう。車両は西武のものですが、渋谷や副都心線から東横線・みなとみらい線への運転(つまり貸し出し状態)でも、本数を増やせば利用が伸びる気もします。
車両(編成)を伸ばせば定員も増えるので座りやすくはなりますが、ホームの長さには限界があるので簡単に長編成化できない中で、デュアルシートは着席ニーズに応える手法になりつつあるといえます。電車での「座りたい願望」をかなえるのはデュアルシート車両ではないでしょうか。
<参考資料>