小田急が2018年度の設備投資計画を発表しました。
3月に運転開始したロマンスカーGSEの2本目を投入、3000形8両編成の10両編成化、代々木八幡駅と開成駅のホーム延伸などが主な内容です。
代々木八幡駅のホーム延伸で各駅停車が10両編成で運転できるようになり、開成駅のホーム延伸で快速急行・急行の停車を目指します。
さらなる輸送力の増強を目指し、336億円を投入
小田急電鉄は2018年4月27日(金)、2018年度の設備投資計画を発表しました。
今年3月には複々線が完成し、ダイヤ改正により大幅に輸送力が増しましたが、さらなる輸送力の増強を目指し、「輸送力の増強」「安全対策の強化」「サービスの向上」
を3本柱として、総額336億円を投じます。
ここでは“車両の投入・リニューアル”“ホームドア設置と駅の改良”“安全向上策”の3つを軸に、設備投資計画をまとめてみました。
車両の投入・リニューアル
車両の新製は合計11両と数は少ないものの、30000形EXEと1000形のリニューアルも実施します。
GSEの2本目の製造
3月には新型ロマンスカー・GSE(70000形)が運転開始されましたが、2018年度は2本目(7両編成)を製造します。
3月に運行開始したGSEは2本目を製造
小田急70000形 特急 スーパーはこね5号 箱根湯本行き 70051編成 クハ70351 @喜多見 18-03-24
GSEの追加投入と引き換えにLSE(7000形)の引退が見込まれますが、世代交代により名実ともにGSEがロマンスカーを代表する車両になりそうです。
遅くても来年3月にあるであろうダイヤ改正で2本目のGSEが運転開始しそうです。
3000形8両編成に中間車2両を組み込み、10両編成化
主に各駅停車で使用される3000形8両編成
小田急3000形 各駅停車 新宿行き 3655編成 クハ3655 @新百合ヶ丘 18-03-28
後述する代々木八幡駅のホーム工事にも絡みますが、主に各駅停車で使用している3000形8両編成に中間車2両を組み込んで10両編成に伸ばします。
対象となるのは8両編成2本で、中間車計4両を製造。
10両編成化で、朝のラッシュピーク時間帯における輸送力増強
と運行異常時におけるダイヤ復旧の迅速化
が図られるとしています。
30000形1本をリニューアルでEXEαに、1000形もリニューアルが継続
EXEαへの改造も1本で実施
小田急30000形 特急 モーニングウェイ74号 新宿行き 30052編成 クハ70052 @新百合ヶ丘 18-03-28
車両のリニューアル工事も引き続き行われ、2018年度ではロマンスカーEXE(30000形)の1本がリニューアルでEXEαになります。
3月のダイヤ改正以前に運転されていた準急新宿行きに運用の1000形リニューアル車両
小田急1000形 準急 新宿行き 1096編成 クハ1096 @下北沢 18-03-08
1000形のリニューアル工事も引き続き進められ、2018年度では4両編成2本・10両編成1本がリニューアルします。
ホームドア設置と駅の改良
もはや駅に求められる設備として必須ともいえるホームドア、2018年度も設置が進みます。ホームの延伸を含む駅の設備改良も実施します。
ホームドアの設置
ホームドア設置予定の下北沢駅地下1階ホーム/2018.3.3撮影
2018年度では代々木八幡駅・下北沢駅(地下1階ホーム)にホームドアを設置する予定です。
代々木八幡駅では次に挙げるホーム延伸(新設)工事が行われていて、ホーム工事の完了とともにホームドアも導入されるようです。
下北沢駅の地下1階ホームは、今年3月の複々線完成により使用開始しましたが、現在は固定式ホーム柵が設置されています。この柵に替わってホームドアが設置されます。
上の写真では、よく見ると柵の部分はホームが欠けています。現在設置の柵が仮設のもので、ホームドア設置を想定した構造になっているのがわかります。
ホームドアの設置スケジュール
- 設置済み:新宿(4・5番ホーム)
- 2018年度予定:代々木八幡・下北沢(地下1階ホーム)
- 2019年度予定:代々木上原、東北沢、世田谷代田、梅ヶ丘
- 2020年度予定:下北沢駅(地下2階ホーム)
- 2022年度までに予定:新宿、登戸、新百合ヶ丘、町田、相模大野、海老名、本厚木、大和
ホームの延伸
代々木八幡駅と開成駅のホームを、10両編成対応にします。
代々木八幡駅
代々木八幡駅は既存のホームでは延伸が難しいため、上下線の線路の間にホームを新設する工事が進められています。同時に駅舎も新たにつくられ、踏切の代わりとなる自由に通行できる改札外のコンコースも設置されます。
この工事が完成すると、新宿~新松田・唐木田間の全駅のホームが10両編成対応になり、新宿口各駅停車で10両編成が運転できない制約がなくなって運用の自由度が増します。
代々木八幡駅ホームの10両化で、朝のラッシュピーク時間帯における輸送力増強と、運行異常時におけるダイヤ復旧の迅速化
が図られるとしています。
開成駅
新松田駅から小田原方面で次の駅の開成駅で、ホームを延伸します。
現在のホームの長さは6両編成分ですが、10両編成の列車が停まれるよう延伸工事を実施します。
2018年度中に実施予定のダイヤ改正から、開成駅に10両編成の快速急行・急行が停車するようになる見込みです。
新駅舎の建設
下北沢駅では2019年3月の完成に向けて新駅舎の建設を進めます。
複々線は完成してホームも増えましたが、駅舎は仮設の南口が閉鎖されましたが、新駅舎では新たに中央口などが設置されます。
そのほか、鶴巻温泉駅の跨線橋とペデストリアンデッキを接続させる改良工事、本厚木駅下りホームに下りエスカレーターの新設、全駅にてトイレの洋式化工事などを進めます。
安全向上策
地震や災害発生時の被害を抑えるための、耐震補強工事や法(のり)面の回収工事を行います。また踏切の安全対策を進めるために、非常ボタンの増設や列車方向指示器の改良なども実施します。
- 耐震補強工事:大和駅周辺、玉川学園前駅~町田駅間
- 法面改修工事:玉川学園駅~相模大野駅間、多摩線、江ノ島線
- 小田急電鉄 ― 2018年度 鉄道事業設備投資計画(PDF 396KB/2018年4月27日)