2018年3月に代々木上原~登戸間の複々線化が完了する小田急線。複々線化による白紙ダイヤ改正の内容が発表されました。
種別の新設、スピードアップ、千代田線直通運転系統の変化など多岐にわたります。発表されたダイヤ改正内容をまとめてみました。
なお、内容があまりにも多いため、詳細については後日改めて記事にする可能性もあります。
※2018年3月のダイヤ改正限りで廃止になる列車について、詳しくはこちら
列車の新設・増発・スピードアップ
小田急3000形 快速急行 新松田行き 3095F クハ3495 @喜多見 17-05-14
11月1日(水)に小田急電鉄が、2018年3月に予定している代々木上原~登戸間の複々線化を全面使用した、新ダイヤの内容を発表しました。
現在複線のままの代々木上原~梅ヶ丘間のボトルネックが解消し、複々線化完成で列車がより多く・より早く走れるようになれるのを活かして増発やスピードアップが行われます。
平日上り朝ラッシュ時
- 新種別、通勤急行・通勤準急を運転
唐木田→新宿間に通勤急行、本厚木→千代田線方面に通勤準急を新設。- 通勤急行の停車駅:
唐木田、小田急多摩センター、小田急永山、栗平、新百合ヶ丘、向ヶ丘遊園、成城学園前、下北沢、代々木上原、新宿 - 通勤準急の停車駅:
本厚木~登戸間各駅、成城学園前、経堂、下北沢、代々木上原、千代田線内各駅
- 通勤急行の停車駅:
- 「モーニングウェイ」「メトロモーニングウェイ」号の運転開始
朝方上りのロマンスカーを4本増発し、計11本に。9:30頃までに到着するロマンスカーの愛称が「モーニングウェイ」「メトロモーニングウェイ」号になります。 - 21本増の大増発で計105本運転
(代々木上原着6:00~9:30)
複々線化完成のメリットを活かして21本の増発。ピーク時の輸送力が約40%向上し、混雑率が150%程度までに緩和。 - 千代田線直通が17本増で計28本運転。通勤準急メインに
千代田線直通の速達列車が9本→18本に増発。ピーク時間帯は通勤準急の運転になり、新たに運転される各駅停車10本と合わせて直通は28本に。 - 新宿方面は最大12分短縮。快速急行メインに
(町田→新宿間)
小田原線・江ノ島線からの快速急行を25本増発して、計28本運転。町田駅から最大12分、海老名駅・大和駅からは最大10分短縮。 - 多摩線発・新宿行きの通勤急行・急行を新設
多摩線から新宿直通の通勤急行・急行を13本新設。小田急多摩センター→新宿間で最大14分短縮。 - 小田急多摩センター・海老名・成城学園前など始発の列車を新設・増発
小田急多摩センター始発新宿行きの通勤急行を、ピーク時を中心に6本運転。ほかにも、海老名始発の通勤準急を7時台に3本、成城学園前始発の通勤準急・準急を4本運転します。
平日下り夕ラッシュ時
- 千代田線からの直通列車が24本増。直通区間は伊勢原までに
1時間あたり8本(急行×2、準急×4、各駅停車×2)運転し、直通区間が最長で伊勢原駅まで延長されます。 - 快速急行が28本の大増発で、計35本運転。町田方面は15分間隔
新宿駅発18~20時台で、1時間あたり快速急行を6本・急行を6本運転。- 快速急行6本の内訳:
小田原行き×2、藤沢行き×2、唐木田行き×2 - 急行6本の内訳:
小田原・新松田行き×4、藤沢行き×2
- 快速急行6本の内訳:
- 藤沢行き「ホームウェイ」号の最終が30分繰り下げ
現行ダイヤでは新宿22:45発のところ、23:15発に繰り下がります。
合わせて藤沢行き「ホームウェイ」号の発車時刻が毎時15分(18:15~23:15)に変更されます。
日中の時間帯
- 千代田線直通は、向ヶ丘遊園発着の準急が1時間あたり3本に
土曜・休日は、さらに成城学園前発着の準急が3本入り、直通は1時間あたり6本になります。 - 多摩線直通・新宿~唐木田間の急行を1時間あたり3本運転
新宿発着の急行は1時間あたり合計6本(残り3本は新松田発着)となります。
快速急行は小田原・藤沢発着1時間あたり各3本です。
土曜・休日ダイヤ
- 新宿~小田原間、最速59分。悲願の1時間切りへ
箱根湯本行き「スーパーはこね」号を2本増発し、合計4本に。新宿→小田原間最速59分、新宿→箱根湯本間最速73分で運転します。 - 千代田線~江ノ島線直通のロマンスカー「メトロえのしま」号を新設
下り2本、上り1本運転。北千住~相模大野間は「メトロはこね」号と併結します。 - 「メトロはこね」号の増発
1往復増発し、合計3往復に(平日は1往復のままです)。 - 片瀬江ノ島駅発着の快速急行を大増発
江ノ島線直通の快速急行は、基本的に新宿~片瀬江ノ島間の運転になります。江の島まで速達列車が直通するようになります。
(下り・新宿発7時台~20時台、上り・片瀬江ノ島発8時台~21時台で運転)
停車駅の追加
- 快速急行:登戸を追加、多摩線発を新設(多摩線内は急行と同じ)
- 急行:経堂通過は平日夕下りのみに
- 準急:千歳船橋・祖師ヶ谷大蔵・狛江を追加、全列車千代田線直通に変更
- 藤沢行き「ホームウェイ」号:全列車新百合ヶ丘停車(3番ホーム発着)
列車・停車駅の廃止
- 多摩急行の廃止
- 千代田線~多摩線直通列車の廃止
- 特急ロマンスカーの向ヶ丘遊園駅・新松田駅停車を廃止
廃止になる列車については、詳しくはこちらから。
感想など
複々線化で変わるとは思いましたが、思っていた以上の改正内容でした。種別の新設は想定内でしたが、千代田線~多摩線直通がなくなるとは思っていませんでした。多摩急行の運転開始当初は、都心から多摩ニュータウンへの足を京王から奪取しようと考えていたのでしょうが、想定よりも伸びずに千代田線へは世田谷区内からが多かったようです。
多摩線直通の快速急行が登場しましたが、登戸が追加されたとはいえ、距離を考えると停車駅が少ないように見えます。こちらも背景としては、京王で運転開始される5000系使用の座席指定列車への対抗策と考えられます。
準急の停車駅が増えましたが、追加された3駅は各停のみ停車の駅では利用者数が上位の3駅なので納得ではあります。準急の停車駅が増えた分、新設の通勤準急は現行の準急停車駅に近い(経堂の追加のみ)ものになりました。準急の追加停車駅を利用している身としては、区間準急の廃止以来の速達種別の停車となりますが、普段の利用はもっぱら新宿へ向かっているので個人的な恩恵が少ないのは残念ではあります(^^;
千代田線からの直通運転が、最長で伊勢原までになりましたが、現在でも回送では伊勢原まで入っているため、回送だったものを営業運転に切り替えたものといえそうです。
ロマンスカーが新宿~小田原間で1時間を切りました。カーブが多く列車も多い小田急ではこれ以上のスピードアップは無理かと思っていたのですが、通勤時間帯だけでなく特急列車の底上げも実施するのは複々線化に対する並々ならぬ意欲を感じます。
何はともあれ、大幅に増発された抜本改正となりました。特に朝の時間帯に、現在利用している列車の時刻が変更されていることがあるので(私はそうでした)、小田急線を普段から利用している方は来年3月のダイヤ改正時に時刻の変化を確認しておいた方がよさそうです。
- 小田急電鉄 ― 2018年3月、新ダイヤでの運行開始(PDF 1.16MB/2017年11月1日)