関電トロリーバスが2018年で廃止、電気バスに置き替えへ

現在、日本国内にはトロリーバスの路線が2ヶ所ありますが、そのうちの1つ・関電トンネルトロリーバスが2018年限りで廃止され、電気バスに置き替わることが発表されました。トロリーバスから電気バスへ置き替えの背景について考えてみたいと思います。

来年に55年間の歴史に幕・関電トンネルトロリーバス

トロリーバスの路線は2ヶ所ありますが、どちらも富山県から長野県にかけての立山連峰を横断する山岳観光ルート・立山黒部アルペンルートにあります。

ちなみに、トロリーバスは日本語では「無軌条電車」といい、見た目はバスながらも法的には鉄道の一種(特殊鉄道)です。

その2ヶ所あるトロリーバスのうちの1つ・関電トンネルトロリーバスを運行する関西電力が8月28日に、2018年(平成30年)限りでの廃止を発表しました。同日に鉄道事業廃止届も出されています。

理由としては、車両更新の時期に差し掛かり、国立公園内で運行する環境性と、運行コスト(経済性)を考慮したもののようです。

現在運行している車両の300形・15台は、1993年(平成5年)から1996年(平成8年)にかけて導入され、最も新しい車両でも20年以上経っています。300形の先代の車両も、導入から約20~30年で置き換わったことから、更新の時期に近づいていました。

1964年(昭和39年)に運行が開始された関電トンネルトロリーバスは来年で55年の歴史に幕を閉じることになりました。

新たに置き替わる電気バスとは

2019年からは、電気バスが新たに導入されることになりました。現在の300形トロリーバス15台を一斉に置き替えます。

関電トンネルに導入される電気バスは、電気自動車(EV)の一種で、車載バッテリーからの電気でモーターを動かして走りますが、バッテリーへの充電は車載パンタグラフによる超急速充電になる予定です。電車にあてはめると、同じようにパンタグラフから充電し、非電化路線でも走ることのできる蓄電池電車としては、JR東日本のEV-E301系・EV-E801系(ACCUM)、JR九州のBEC819系(DENCHA)があります。

新型の電気バスは、モーター出力が現在の120kW(三相かご型誘導電動機)から230kW(三相同期電動機)と2倍近くになり、バッテリー容量は53kWhです。制御方式は明らかになっていませんが、現在の300型トロリーバスと同じくVVVFインバータ制御ではないかと予想しています。急勾配もある関電トンネルを大型バスが走るため、高出力のモーターになっているようで、参考までに9月発表の最新のEV乗用車・日産の新型リーフでは定格85kWのモーターに40kWhのバッテリーを積んでいるのと比較すると、大型車用にカスタマイズされているのがわかります。

電気バス導入の背景としては、上で環境性と経済性を考慮と書いていますが、300型トロリーバス導入時の約20年前に比べると、バッテリーの容量と技術が飛躍的に向上したことがあるのではないでしょうか。20年前ではまだリチウムイオン電池も小容量で、例えば今のスマホをロクに動かすこともできなかったでしょうからね。大型バスを動かすだけの電力を得るには、当時はまだ架線(トロリー線)から常時給電するほかなかったのでしょう。

関電トンネルトロリーバスは6.1km(うちトンネル5.4km、ウィキペディアより)と距離が短く、往復でも12kmあまりです。そのため20年のうちにバッテリーだけでも12km程度なら十分走れるようになったこともあると思います※1

トロリーバスがひとつ消えてしまうのは寂しい限りですが、背景にスマホなどで恩恵を受けているバッテリー技術の向上があることを考えると、一概に否定はできないように思えます。

※1:現状では充電設備がどこに設けられるかは発表されていませんので、扇沢駅と黒部ダム駅のどちらか片方だけに設置と想定しました

2018年にはキャンペーンも実施予定

トロリーバスは「トロバス」の愛称で呼ばれ、関電トンネルトロリーバスは開業以来延べ6000万人以上が利用してきました。

2018年はトロリーバスとしては最後の年になるので、トロバスラストイヤーキャンペーン(仮称)としてイベントを実施する予定としています。

私は30年以上前にアルペンルートを横断したときに先代の車両に乗っているのですが、子供だったこともあり正直いって詳しい様子は覚えていないんです。そこで、来年のラストイヤーのうちに、改めて乗りに行けたらと思っています。

残ったもうひとつのトロリーバスは

アルペンルート内にはもうひとつ、立山トンネルトロリーバスも走っています。こちらは1996年(平成8年)に、通常のバスに代わり運行が開始されました。こちらは今のところ更新予定もないとしています。

<参考資料>