JR東海がハイブリッド次期特急車両を導入。リニア時代に備え“ワイドビュー”キハ85系置き換えへ

てつトピてつコラム列車車両

JR東海 ハイブリッド次期特急車両

画像出典:JR東海のニュースリリースより

6月7日、JR東海が「ハイブリッド方式による次期特急車両」をつくることを発表しました。

現在走っているキハ85系を置き換えて、ハイブリッド方式としては初の最高速度120km/hを目指すとしています。

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JR東海の「次期特急車両」とは

「次期特急車両」は、エンジンで発電した電力と、ブレーキ時に貯めたバッテリーの電力でモーターを回して走る、ハイブリッド方式の車両です。

今回明らかになったのは「試験走行車」です。今後の試験走行で安全性や快適性の技術を確立していき、最終的な目標は最高速度120km/hでの営業運転です。

次期特急車両のスケジュールとキハ85系の置き換え

次期特急車両は、現在「ひだ」「南紀」に使われているキハ85系の置き換えを見据えて新製するとしています。

次期特急車両のスケジュール

2019年末(平成31年末)に試験走行車1編成4両を製造。

その後1年間をめどに、ハイブリッド車両の基本性能試験や長期耐久試験を行う予定です。

試験の結果を反映して、量産車は2022年度の投入を目指します。

キハ85系の置き換えと背景

JR東海キハ85系 特急(ワイドビュー)ひだ18号 名古屋行き @富山 14-08-02

キハ85系 キロ85形(特急(ワイドビュー)ひだ18号 名古屋行き @富山 2014-08-02)

キハ85系は、JR東海発足後初めての自社車両として1989年に登場しました。JR東海の在来線特急形車両に付けられている“ワイドビュー”の名を最初に称した車両でもあります。

まず「ひだ」1往復に投入、1990年に「ひだ」の全列車に使用されて国鉄形のキハ80系(キハ82系)を置き換えました。1992年には「南紀」に投入され、キハ82系を特急定期運用から撤退させました。

“ワイドビュー”の名のとおりに大きな前面・側面の窓から展望が楽しめ、高出力のカミンズ製エンジンを搭載し電車なみの性能を誇るなど、ハード・ソフトともに性能がアップして国鉄からJR東海への移行を印象づけた車両ではないでしょうか。

しかし、そのキハ85系もデビューから30年近くになります。車齢からしたらまだ活躍できそうですが、高山方面も熊野・南紀方面も沿線に高速道路が整備されたために、高速バスとの競合が起きていました。

特に高山方面は高速バスの本数も多く競争が激しい一方で、高山は外国人観光客が増加し今後もインバウンドは増え続けそうな状況です。その両方の対応策として「次期特急車両」が打ち出されたと思います。

次期特急車両とキハ85系の違い

次期特急車両は新たな系列なので、ハイブリッド方式を始めキハ85系の登場時にはなかった技術が盛り込まれることになるのはもちろんですが、設備面でも方針転換が図られたように見られます。

JR東海が発表した車両デザインは貫通型で、窓も天地(上下)方向が狭くなっていると思います。

今回の発表では、

  • 防音床を採用し快適性を向上
  • 荷物スペースの設置
  • 全座席にコンセントを設置
  • バリアフリー対応
  • 防犯カメラの設置
  • LED照明の採用

といった車内設備も明らかになりました。

キハ85系が登場したのはバブル真っ只中の1989年。当時はリゾート志向がもてはやされたこともあって、大きな窓と高くした座席で展望を重視した“ワイドビュー”車両の姿勢からも時代背景がうかがえます。それから30年近くたってリゾートブームはとうの昔に過ぎ、居住性・快適性の重視へと方針転換したのは、車内空間に求められるものが変わったことがうかがえます。

また、「セミアクティブダンパをグリーン車に設置」と発表したので、引き続きグリーン車も連結されそうです。

今後の展望

次期特急車両(量産車)が当初の想定通り2022年度に投入となれば、2023年から遅くても2025年にはキハ85系を置き換えそうです。投入はキハ85系のときと同じく「ひだ」からとなるのではないでしょうか。

気になる系列名ですが、85系の次の87系は「瑞風」用車両となったので、順番通りならばキハ89系となるのかもしれません。しかし新たなハイブリッド気動車ということから、別の番号が与えられる可能性もあると思います。

次期特急車両(量産車)の投入が2022年とされているのは、2027年開業とも言われているリニア中央新幹線との接続を想定していると考えられます。新時代のリニアと合わせるには、接続する「ひだ」「南紀」にもやはり新しい車両を求めたのでしょう。

次期特急車両の登場は、ひと足早くリニア時代到来のさきがけとなりそうです。

<参考資料>

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