JR東海が新型通勤電車の315系を投入します。2021年度から5年かけて211系・213系・311系を置き換え、国鉄時代からの車両を一掃します。性能面でも、非常用蓄電池の搭載や全車両に防犯カメラ・車いすスペースの設置など、最新技術の導入や最近のニーズに応えています。
通勤型電車の新形式315系を投入決定。211系・213系・311系を置き換え
2020年1月22日(水)、JR東海は新形式の通勤型電車となる315系の投入を発表しました。
名古屋・静岡都市圏を中心とした、中央本線・東海道本線・関西本線などに投入します。
2021年度から2025年度にかけて352両を製造し、1987年のJR発足前後に投入された211系・213系・311系を置き換えます。315系の投入による設備投資額は、付帯工事費なども含めて約720億円を予定しています。
国鉄時代から残っている211系のうち8両も315系に置き換わることで、JR東海が保有するすべての車両がJR発足後に製造した車両となります。これはJRグループ各社で最初のことです。
315系の特徴
315系の特徴を発表資料から紹介します。
エクステリアイメージ
画像:JR東海のニュースリリースより(下記リンク参照)
315系のデザインは、先進性×親近感
をイメージ。
先進性として、通勤型電車の新しい顔
となる、直線を使用した幾何学的な形状
横長に連続した前面表示窓
を提案。前面のスカートも排障機能を向上させた形です。
コーポレートカラーのオレンジを、窓のあいだに配置して親近感をもたせています。
最高速度130km/hの基本性能
最高速度は時速130km。211系の時速110kmから20キロ速くなります。名古屋地区の特別快速・新快速(120km/h)も運用可能な速度です。
座席は全席ロングシートとなります。
安全性・安定性を向上
- 非常走行用蓄電装置を搭載
JR東海の在来線車両では初となる非常走行用蓄電装置を搭載。停電時でもその場で止まらず、最寄りの駅まで走行できるようになります。
- 車内に防犯カメラを設置
防犯カメラを、1両あたり5台を車内に設置。新幹線内での傷害事件を教訓に、セキュリティーを向上させます。
- 主要機器(ATS-PT・モーター駆動用電力変換装置)を二重系化、信頼性を向上
- 車両――地上間のデータ通信装置を導入、メンテナンスに活用
- 台車の振動を常時監視する振動検知装置を導入
快適性を向上
- HC85系(次期特急形ハイブリッド車両)と同じ台車構造(一体成型による台車枠タンデム式軸箱支持構造)を採用、乗り心地を向上
- 案内用のフルカラー液晶ディスプレイを車内に設置
- 全車両に車いす設置スペース、全編成に車いす対応トイレを設置
環境性能を向上
- SiC素子を使用したVVVFインバータ制御装置を導入、省エネルギー化(211系比 約35%減)
- LED照明(前照灯・室内灯)を導入
- JR東海 ― 在来線通勤型電車の新製について(PDF 302KB/2020年1月22日)